(1件 不当と認める国庫補助金 2,500,893円)
部局等 |
補助事業者等
(事業主体) |
補助事業等 |
年度 |
事業費
国庫補助対象事業費
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左に対する国庫補助金等交付額 |
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
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不当と認める国庫補助金等相当額 |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(232) | 岩手県 |
岩手県 |
社会資本整備総合交付金 (道路) |
2 | 29,109 (29,109) |
16,447 | 4,426 (4,426) |
2,500 |
この交付金事業は、岩手県が、道の駅「はなまき西南」(以下「道の駅」という。)において、冬期に発生する吹雪から道の駅の利用者等を保護するための防雪柵(延長68.0m)を設置するなどしたものである。
そして、道の駅は、駐車場等の道路管理施設については道路管理者である同県が、また、地域振興施設等については花巻市が、それぞれ管理している。そして、両者の施設管理において共通して必要な防雪柵の設置等に当たっては、両者で協定を締結した上で共同で実施することとし、工事の設計及び施工については同市が実施して、同県は、この設計及び施工について確認した上で、同市に対して協定で定めた負担割合に基づく工事費(以下「工事費負担金」という。)29,109,980円(交付対象事業費同額、交付金交付額16,447,138円)を支払っている。
同市は、本件防雪柵の設計に当たり、防雪柵の製造メーカーから「道路吹雪対策マニュアル」(独立行政法人土木研究所寒地土木研究所編。以下「マニュアル」という。)に基づいた設計計算書及び標準的な図面の提出を受けて、これを参考に、4.0m間隔で建てた支柱の間に設置する高さ3.7mの防雪ネット(以下、支柱と防雪ネットを合わせて「上部構造」という。)が受ける風荷重に対して、奥行き0.5m、高さ0.9mから1.0mまでの断面のコンクリート製の基礎を防雪柵の全延長にわたって設置すれば構造上安全であるとしていた。そして、防雪柵を延長方向に側面から見た図である断面図やこれに対して直角に正面から見た図である縦断図等の図面、工事施工に関する材料の形状、寸法、設計数量等を示した工事数量総括表(以下、これらを合わせて「設計図書」という。)等を作成し、工事を発注していた。
しかし、同市は、上記の図面において、コンクリート製の基礎を防雪柵の全延長にわたって設置することとしていた一方で、工事数量総括表の作成に当たって、誤って、断面図を縦断図と認識したり、縦断図を防雪柵の上部構造のみを示した図であって基礎の構造を示したものではないと認識したりしたことから、図面とは異なり、全18本の支柱の根元部分のみに幅0.5m、奥行き0.5m、高さ0.9m又は1.0mのプレキャストコンクリート製の基礎を計18基設置することとしていた。そして、工事は、この誤った工事数量総括表に基づいて施工されていた(参考図参照)。
また、同県は、本件防雪柵の基礎について、工事数量総括表の記載内容が図面と異なっていて、誤った工事数量総括表に基づいて施工されていたのに、これらの確認が十分でなかったことから、工事が設計図書どおりに完了したとして、市に対して工事費負担金を支払っていた。
そこで、実際に設置されたプレキャストコンクリート製の基礎の形状及び寸法を用いて、改めてマニュアルに基づいて設計計算を行ったところ、転倒に対する安全率は、高さ0.9mの基礎の場合は0.200、高さ1.0mの基礎の場合は0.248となり、いずれも設計計算上安全とされる安全率1.2を大幅に下回っていた。
したがって、本件防雪柵(工事費負担金相当額4,426,361円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態となっており、これに係る交付金相当額2,500,893円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において設計図書を作成する際の確認が十分でなかったことにもよるが、同県において同市が作成した設計図書及び同市が実施した施工の確認が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)
設計図書に基づく防雪柵の概念図(1スパン部分の抜粋)