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  • (2) 補助金の交付額の算定が適切でなかったもの

補助対象事業費の算定が適切でなかったため、補助金が過大に交付されていたもの[中国地方整備局](239)


(1件 不当と認める国庫補助金 24,853,712円)

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(239)
中国地方整備局
広島県
港湾機能高度化施設整備
平成29~令和元
2,432,572
(400,000)
200,000 49,707
(49,707)
24,853

この補助事業は、広島県が、地方港湾である厳島港(宮島口地区)において、旅客船ターミナル施設の整備として、設計業務並びに建築工事及び電気設備工事を含む5工事を実施したものである。

港湾機能高度化施設整備費補助交付要綱(平成17年国港管第1号)によれば、旅客船ターミナル施設を高齢者、身体障害者等の円滑な利用に配慮した構造(以下「バリアフリー構造」という。)として整備する場合の補助金の額は、バリアフリー構造の施設の整備に要する経費の2分の1以内とされている。

同県は、本件事業において、設計業務、建築工事及び電気設備工事のうちの本件ターミナル施設全体で共通的に使用する設備についての工事に係る補助対象事業費については、バリアフリー構造としているトイレ、授乳室、通路等(以下、これらを「バリアフリー部分」という。)の床面積を本件ターミナル施設全体の延べ床面積で除した割合(以下「面積案分率」という。)を算出し、業務委託費又は工事費に乗ずるなどの方法により算定することにしていた。また、電気設備工事のうちのバリアフリー部分でのみ使用する設備に係る工事費は全額を補助対象とすることにしていた。

同県は、上記に基づき、バリアフリー部分の床面積を1,110.7m²、本件ターミナル施設全体の延べ床面積を4,870.1m²とし、面積案分率を22.8%と算出していた。そして、電気設備工事については、本件ターミナル施設全体で共通的に使用する電灯設備等に係る工事費に面積案分率を乗じた額と、バリアフリー部分でのみ使用するものとした拡声設備及び誘導支援設備に係る工事費とを合計するなどして補助対象事業費を77,289,000円と算定していた。また、設計業務及び建築工事についても、同様に面積案分率を用いるなどして補助対象事業費をそれぞれ18,000,000円及び197,450,200円と算定していた。

しかし、同県は、面積案分率の算出に当たり、バリアフリー部分の床面積や本件ターミナル施設全体の延べ床面積の集計を誤るなどしていた。また、電気設備工事のうちバリアフリー部分でのみ使用するものとしていた拡声設備は、本件ターミナル施設全体で共通的に使用するものであった。

そこで、設計図面等に基づき改めて適正なバリアフリー部分の床面積及び本件ターミナル施設全体の延べ床面積を算出したところ、それぞれ556.2m²及び4,897.2m²となり、適正な面積案分率は11.35%であった。そして、電気設備工事について、拡声設備等を含めた本件ターミナル施設全体で共通的に使用する設備に係る工事費に適正な面積案分率を乗じた額と、バリアフリー部分でのみ使用する誘導支援設備に係る工事費の合計額に基づき補助対象事業費を算定すると37,948,083円となり、前記の電気設備工事に係る補助対象事業費は39,340,917円過大に算定されていた。また、設計業務及び建築工事についても、同様に適正な面積案分率に基づき補助対象事業費を算定すると、それぞれ9,274,403円及び195,809,292円となり、前記の設計業務及び建築工事に係る補助対象事業費はそれぞれ8,725,597円及び1,640,908円過大に算定されていた。

したがって、本件事業全体の適正な補助対象事業費を算定すると、計350,292,578円となり、補助対象事業費計400,000,000円との差額49,707,422円が過大となっていて、これに係る国庫補助金相当額24,853,712円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同県において、本件事業の補助対象事業費の算定に当たり、面積案分率の算出の基礎となる床面積の確認が十分でなかったことなどによると認められる。