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  • (4) 工事の設計及び施工が適切でなかったもの

水路工の設計及び施工が適切でなかったもの[熊本県](244)


(1件 不当と認める国庫補助金 2,692,018円)

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(244)
熊本県
阿蘇市
河川等災害復旧
29 12,233
(12,233)
11,046 2,981
(2,981)
2,692

この補助事業は、阿蘇市が、阿蘇市跡ヶ瀬地内の普通河川市の川川において、平成28年熊本地震により被災した護岸等を復旧するために、法面工、水路工等を実施したものである。

このうち、水路工について、同市は、プレキャスト鉄筋コンクリート製のU型ブロック(以下「U型ブロック」という。)及びプレキャスト鉄筋コンクリート製のL型ブロック(以下「L型ブロック」という。)を用いた水路(内空断面の幅1.4m~1.6m、高さ1.2m、延長96m。以下、U型ブロックを用いた水路を「U型水路」、L型ブロックを用いた水路を「L型水路」という。)を築造する設計としていた。

同市は、本件水路工の設計を「土地改良事業計画設計基準・設計「水路工」」(農林水産省農村振興局制定。以下「設計基準」という。)等に基づき行っている。設計基準等によれば、鉄筋コンクリートにおいては、土圧等の外力に対して鉄筋とコンクリートとが一体となって働く必要があり、鉄筋端部を重ね合わせて接合する場合、重ね合わせる長さは、鉄筋の応力(注)を伝達するために必要な鉄筋の埋込み長さとして所定の計算式により算出した基準となる長さ(以下「基本定着長」という。)以上を基本とするとされている。そして、プレキャストコンクリート水路の設計の詳細については、各メーカーの設計資料等を参照することとされており、本件L型ブロックについては、重ね合わせる長さは基本定着長以上とされている。

また、同市では、請負人が、工事施工中等に、設計図書等の契約図書で明示した事項の変更等を申し出る場合は、請負人から同市の監督職員に対して、変更等の内容を明確に記入した書面に、必要な関係書類を添付することとなっている。そして、同市の監督職員は、これを確認した上で承諾することとなっている。

しかし、同市の監督職員は、工事施工中に請負人から、契約図書においてU型水路としていた区間についてL型水路に変更したい旨の申出を受けた際に、請負人が変更に伴う新たな設計を記した書類を添付していなかったのに、当該書類の添付を求めることなく、設計内容の確認を十分に行わないまま、これを承諾していた。

そこで、施工状況を確認したところ、請負人は、当初、U型水路としていた16.5mの区間及び当該区間に接続するL型水路2.5mの区間、計19.0mの区間について、二つのL型ブロックを左右向かい合わせに配置して側壁及び底版の一部とし、その間(幅80cm)を鉄筋で連結した上でコンクリートを打設して底版の一部(以下「底版コンクリート」という。)とするなどしてL型水路を築造していた。そして、底版コンクリートの鉄筋の配筋については、左右に設置するL型ブロックの底版には、あらかじめ径13mmの張出鉄筋が水路の横断方向に39cm突出するように埋め込まれていることから、張出鉄筋に加えて別の鉄筋(径13mm、長さ50cm。以下「底版鉄筋」という。)を底版コンクリートの中心に配置し、張出鉄筋と底版鉄筋とを重ね合わせて接合しており、その重ね合わせ長さは24cmとなっていた(参考図参照)。

前記のとおり、水路工の鉄筋コンクリートにおいて鉄筋端部を重ね合わせて接合する場合に重ね合わせる長さについては、基本定着長以上が必要とされていることから、L型水路の底版コンクリートにおいて実際に施工されていた上記の重ね合わせ長さ24cmは、設計基準等に基づき算出した基本定着長39cmを下回っていて、L型水路は土圧等の外力に対して鉄筋とコンクリートが一体となって働くことができないものとなっていた。

したがって、本件水路工(工事費相当額2,981,195円)は、設計及び施工が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態となっており、これに係る国庫補助金相当額2,692,018円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において、施工方法の変更に当たり新たな設計内容の確認が十分でなかったことなどによると認められる。

(注)
鉄筋の応力  鉄筋に外から力がかかったとき、そのために鉄筋の内部に生ずる力

(参考図)

L型水路の底版コンクリートの配筋状況

L型水路の底版コンクリートにおいて実際に施工されていた上記の重ね合わせ長さ24cmは、設計基準等に基づき算出した基本定着長39cmを下回っていて、L型水路は土圧等の外力に対して鉄筋とコンクリートが一体となって働くことができないものとなっていた。