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循環型社会形成推進交付金事業において、交付対象事業費に対象とならない建築物等の整備に要した費用を含めていたり、現場管理費等の算定が適切でなかったため交付金が過大に交付されていたりしていたもの[4県](246)―(249)


(4件 不当と認める国庫補助金 101,848,000円)

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(246)
山形県
山形広域環境事務組合
循環型社会形成推進交付金
平成30~令和2
1,428,136
(1,395,200)
465,066 94,626
(94,626)
31,542
(247)
福島県
東白衛生組合
平成26~令和2
5,392,279
(4,727,494)
1,575,828 99,295
(99,295)
33,097
(248)
愛媛県
西予市
28、29 202,691
(189,572)
62,713 5,049
(5,049)
1,206
(249)
福岡県
田川郡大任町
平成29~令和2
9,017,010
(7,098,475)
2,341,173 182,963
(182,963)
36,003
(246)―(249)の計 16,040,117
(13,410,741)
4,444,780 381,933
(381,933)
101,848

これらの交付金事業は、4事業主体が、循環型社会形成の推進に必要な廃棄物処理施設の整備を実施したものである。

循環型社会形成推進交付金交付取扱要領(平成17年4月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長通知。以下「取扱要領」という。)によれば、マテリアルリサイクル推進施設、有機性廃棄物リサイクル推進施設等を整備する事業において交付金の交付対象となるのは、廃棄物の処理に直接必要な各種の設備のほか、特定の設備のための建築物等とされている。このうち、有機性廃棄物リサイクル推進施設の整備において交付の対象となる建築物は、発酵設備・その他有機性廃棄物のたい肥化、飼料化等の資源化に必要な設備等の特定の設備のための建築物とされており、受入・貯留・供給設備(計量装置、洗浄ブロワ等)、搬出設備、排水処理設備等(以下、これらを合わせて「受入設備等」という。)のための建築物(基礎及び杭の工事に係る部分を除く。)は、交付の対象とされていない。

また、交付対象事業費の範囲は、交付対象設備等に係る本工事費、付帯工事費等から構成される工事費、事務費等とされており、このうちの本工事費は、材料費、労務費及び直接経費から構成される直接工事費に、共通仮設費及び現場管理費から構成される間接工事費と、一般管理費を加えて算定することとされている(図参照)。このうち現場管理費は、直接工事費及び共通仮設費の合計額である純工事費に取扱要領に定められた所定の率を乗じて得た額の範囲内とすることとされている。その際、コンクリート製のU型側溝等のように、工場において生産されて完成された製品として設置することにより効用を発揮するものの調達額(以下「特殊製品費」という。)が直接工事費に含まれている場合には、特殊製品費の2分の1に相当する額を純工事費から減額することとされている。また、一般管理費は、直接工事費と間接工事費の合計額である工事原価の金額の区分ごとに取扱要領に定められた所定の率を工事原価に乗じて得た額の範囲内とすることとされている。

図 交付対象事業費の構成

交付対象事業費の範囲は、交付対象設備等に係る本工事費、付帯工事費等から構成される工事費、事務費等とされており、このうちの本工事費は、材料費、労務費及び直接経費から構成される直接工事費に、共通仮設費及び現場管理費から構成される間接工事費と、一般管理費を加えて算定することとされている。

しかし、4県の4事業主体が実施した本件交付金事業の交付対象事業費の算定に当たり、2事業主体(山形広域環境事務組合及び大任町)は、廃棄物の処理に直接必要な設備等に該当せず交付の対象とならない受入設備等である計量装置等を設置するための建築物等の整備に要した費用を交付対象事業費に含めるなどしていた。また、2事業主体(東白衛生組合及び西予市)は、本工事費のうち現場管理費について、純工事費から特殊製品費の2分の1に相当する額を減額していなかったり、取扱要領に定められた所定の率よりも高い率である予定価格の積算の際に適用した率を用いたりして算出していた。さらに、西予市は、本工事費のうち一般管理費について、取扱要領に定められた所定の率よりも高い率である予定価格の積算の際に適用した率を用いて算出していた。

したがって、4事業主体が実施した本件交付金事業において、受入設備等のための建築物等の整備に要した費用を交付対象事業費から除いたり、取扱要領に基づいて現場管理費及び一般管理費を算出したりするなどして適正な交付対象事業費を算定すると計13,028,808,000円となることから、本件交付対象事業費計13,410,741,000円は、これに比べて381,933,000円過大となっており、これに係る交付金相当額計101,848,000円が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、4事業主体において交付対象事業費の算定についての理解が十分でなかったこと、4県において本件交付金事業の実績報告書の審査及び4事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

事例

大任町は、循環型社会形成推進交付金事業として有機性廃棄物リサイクル推進施設を整備するため、田川郡大任町大字大行事地内において、汚泥等の資源化に必要な設備等に係る処理棟の建屋を建設するなどの工事を事業費9,017,010,685円(交付対象事業費7,098,475,000円、交付金交付額2,341,173,000円)で実施していた。

同町は、処理棟建屋工事費(直接工事費)865,801,000円について、建屋内に交付金の交付の対象となる特定の設備のための部分と対象とならない受入設備等のための部分とが混在していることから、建屋の全床面積(8,169.8m²)に占める、交付の対象となる特定の設備のための建築物の床面積の割合(以下「交付対象割合」という。)を処理棟建屋工事費に乗ずるなどして交付対象事業費を算定することとしていた。そして、同町は、交付の対象となる特定の設備のための建築物の床面積を5,106.5m²と算出し、交付対象割合を62.5%として、交付対象事業費を541,127,000円と算定していた。

しかし、同町は、交付対象割合の算出に当たり、交付の対象となる特定の設備のための建築物の床面積に、誤って、交付の対象とならない受入設備等である計量装置等を設置するための建築物に係る床面積の一部である1,347.8m²を含めていた。そして、同町が交付の対象となる特定の設備のための建築物の床面積としていた5,106.5m²から上記の1,347.8m²を除いて適切に交付対象割合を算出すると46.0%となる。

したがって、前記の処理棟建屋工事費に交付対象割合46.0%を乗ずるなどして適切な交付対象事業費を算定すると6,915,512,000円となることから、本件交付対象事業費7,098,475,000円は、これに比べて182,963,000円過大となっており、これに係る交付金相当額36,003,000円が過大に交付されていた。