ページトップ
  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 令和4年3月|

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するための対策等による政府出資法人の財務等への影響について


2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

政府出資法人は、設置根拠法に基づき、業務の一環として、講演、演劇、業務の一般公開、資格試験、競技会等を実施したり、博物館、ホテル、研修施設、運動施設、社会福祉施設、学校、道路、鉄道、病院等を設置したりなどする事業を行っている。そして、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、特別措置法に基づく都道府県からの要請を受けるなどして、これらの事業の一部を中止したり、設置している施設を休止したり、補助金等の交付を受けるなどして新型コロナウイルス感染症対策に係る事業を実施したりなどしている。

そこで、会計検査院は、正確性、経済性、効率性、有効性等の観点から、次の点に着眼して検査した。

ア 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の前後で各法人の財務にどのような変化が生じているか、また、これに係る財務情報等は適切に開示されているか。

イ 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するための対策等により、各法人の事業の実施に係る費用及び収益にどの程度の影響があったか、中止した事業に要した費用や休止するなどしている施設の運営に要した費用はどのようになっているか、経費削減の状況はどのようになっているか。

(2) 検査の対象及び方法

政府出資法人全204法人を対象として、平成30事業年度(注10)(以下、年度と事業年度とを合わせて「年度」という。)から令和2年度までの状況について、204法人及びこれらの所管府省のうち6府省(注11)に対して、計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)に基づき各法人から提出された財務諸表等のほか、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するための対策等による財務等への影響に係る調書等の提出を受けて、その内容を分析するなどするとともに、204法人のうち7法人(注12)において会計実地検査を行った。

なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止すること自体を目的とする医療に係る業務については、上記の調書等の対象とはせずに、原則として財務諸表等を分析することにより検査した。

また、会計検査院は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて株式会社日本政策金融公庫等が実施している中小企業者等に対する資金繰り支援の実施状況等、及び新型コロナウイルス感染症の影響下における成田国際空港株式会社、新関西国際空港株式会社等の収益等の状況に関して、図表0-1のとおり、それぞれ検査して検査報告に掲記していることを踏まえて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて実施されている資金繰り支援に係る業務及び空港に係る業務の実施状況等は、今回の検査の対象としていない。

(注10)
事業年度  日本中央競馬会については1月から12月まで、その他の法人については4月から翌年の3月まで
(注11)
6府省  内閣府、外務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省
(注12)
7法人  独立行政法人国立科学博物館、独立行政法人国立美術館、独立行政法人日本芸術文化振興会、独立行政法人労働政策研究・研修機構、国立大学法人筑波大学、東京地下鉄株式会社、成田国際空港株式会社

図表0-1 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて実施されている資金繰り支援に係る業務及び空港に係る業務に関する検査報告掲記事項

検査報告 件名等
令和2年度決算検査報告 「新型コロナウイルス感染症対策関連施策における中小企業者等に対する資金繰り支援の実施状況等について」(特定検査対象に関する検査状況)
「新型コロナウイルス感染症の影響下における航空・空港関連企業を対象とする支援施策パッケージの実施状況及び空港整備勘定の歳入、3空港会社の収益等の状況について」(特定検査対象に関する検査状況)

 (以下、各法人の名称中、「独立行政法人」「国立研究開発法人」「国立大学法人」及び「大学共同利用機関法人」は記載を省略した。)