2件 不当と認める国庫補助金 19,590,000円
(社会福祉施設等災害復旧費国庫補助金の概要については、後掲「社会福祉施設等災害復旧費国庫補助金の交付額の算定に当たり、過去に補助金等の交付を受けた建物等に該当するか否かにかかわらず火災保険金を総事業費から控除するなどするよう改善させたもの」参照)
本院は、令和元年度から3年度までの間に16都道府県及び19市から社会福祉施設等災害復旧費国庫補助金(以下「災害復旧費補助金」という。)の交付を受けて災害復旧事業を実施した213事業主体の304施設において会計実地検査を行った。その結果、東京都の1事業主体において総事業費から火災保険金を控除する必要があるのに控除しないまま災害復旧費補助金を算定していた事態や、熊本県の1事業主体において請負業者から返金を受けて実質的に負担していない額等を補助対象事業費に含めた事実と異なる内容の事業実績報告書等を提出していた事態が見受けられた。このため、国庫補助金計19,590,000円が過大に交付されていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、東京都の事業主体及び東京都において災害復旧費補助金の算定に当たり総事業費から火災保険金を控除することについての理解が十分でなかったこと、熊本県の事業主体において補助事業の適正な実施に対する認識が著しく欠けていたこと、熊本県において事業主体に対する指導が十分でなかったことによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
株式会社いわしや窪田(以下「会社」という。)は、令和2年7月豪雨により被災した社会福祉施設に係る災害復旧工事の契約を令和2年7月に請負業者と請負代金額19,203,514円で締結していた。そして、会社は、3年2月に、当該災害復旧工事を総事業費19,203,514円(補助対象事業費18,959,622円)で実施したとして、事業実績報告書等を熊本県に提出し、同県から同年4月に災害復旧費補助金と同県の負担分を合わせて計15,799,000円(国庫補助金相当額12,639,000円)の交付を受けていた。
しかし、会社は、2年11月に実際の請負代金額として15,556,420円の請求書を受け取り、同年12月までに請負契約書に記載されている請負代金額19,203,514円を3回に分けて請負業者に一旦支払った後、同月に請負業者から、請求書の請負代金額15,556,420円との差額3,647,094円の返金を現金により受けていた。このため、実際の総事業費は、事業実績報告書等で報告されたものより低額となっていた。
したがって、補助対象事業費18,959,622円から会社が実質的に負担していない額等を差し引いて適正な補助対象事業費を算定すると14,970,648円となり、補助対象事業費が3,988,974円過大となっていて、これに係る国庫補助金2,659,000円が過大に交付されていた。
以上を部局等別に示すと次のとおりである。
部局等
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補助事業者
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間接補助事業者
(事業主体) |
年度
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国庫補助対象事業費
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左に対する国庫補助金交付額
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不当と認める国庫補助対象事業費
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不当と認める国庫補助金交付額
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摘要
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(133) | 関東信越厚生局 |
東京都 |
社会福祉法人民友会 |
2 | 67,653 | 39,463 | 29,026 | 16,931 | 総事業費から火災保険金を控除していなかったもの |
(134) | 九州厚生局 |
熊本県 |
株式会社いわしや窪田 |
2 | 18,959 | 12,639 | 3,988 | 2,659 | 請負業者から返金を受けた額等を補助対象事業費に含めていたもの |
(133)(134)の計 | 86,612 | 52,102 | 33,015 | 19,590 |