ページトップ
  • 令和4年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第6 厚生労働省|
  • 令和3年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(4) 生活保護業務における情報提供ネットワークシステムを通じた情報照会の実施状況について


(令和3年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した改善の処置

厚生労働省は、都道府県及び市町村に対して、生活保護システムと情報提供ネットワークシステム(以下「情報提供NWS」という。)とを接続し、社会保障・税番号制度の円滑な施行に資することを目的として、生活保護システム等の改修に必要な経費等を対象に、社会保障・税番号制度システム整備費補助金等を交付している。厚生労働省は、都道府県、市(特別区を含む。)又は福祉事務所を設置する町村(以下、これらを合わせて「事業主体」という。)に対して、情報提供NWSを通じて、行政手続に必要な情報をやり取りすること(以下「情報連携」という。)により、省略可能な書類があったり、生活保護法(昭和25年法律第144号)第29条に基づく調査に要する時間が縮減されたりするなど、事業主体において業務上の利点があること、情報連携を行うには、業務フローの確認及び見直しの必要性があることなどを示した多数の通知(以下、これらの通知を含め、厚生労働省が情報連携に関して発出した通知を「情報連携通知」という。)を発出している。しかし、23都道府県の35事業主体において、情報照会(情報提供NWSを通じて、他の機関に対して当該機関の保有する情報の提供を求めることをいう。以下同じ。)が全く実施されておらず、生活保護システム等の改修の効果が十分に発現されていない事態が見受けられた。

したがって、厚生労働大臣に対して令和4年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり改善の処置を要求した。

ア 事業主体に対して、情報照会の実施に係る業務フローの確認及び見直しの必要性や情報照会の実施による業務上の利点等を示している情報連携通知等の内容を理解しやすく整理した上で、改めて周知すること

イ 都道府県等に対して、事業主体における情報照会の実施状況の把握や、情報照会に係る研修を実施するなどの支援を行うよう改めて周知すること

2 当局が講じた処置

本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 5年3月に事務連絡を発して、情報連携通知等を内容に基づいて分類したり、情報連携に関する留意点を質疑応答形式でまとめたりして、情報連携通知等の内容を理解しやすく整理した上で、事業主体に対して改めて周知した。

イ アの事務連絡により、事業主体における情報照会の実施状況の把握や、情報照会に係る研修を実施するなどの支援を行うよう都道府県等に対して改めて周知した。