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  • 令和4年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 農林水産省|
  • 令和3年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(4) 農業農村整備事業等における公共測量の手続の実施について


(令和3年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した改善の処置

農林水産省は、土地改良法(昭和24年法律第195号)等に基づき、農業農村整備事業等を、自ら事業主体となって実施するほか、都道府県、市町村等が事業主体となって実施する場合に事業の実施に要する経費の一部を補助している。そして、各事業主体は、農業農村整備事業等の一環として各種の測量を実施している。測量法(昭和24年法律第188号)は、測量の重複を除き、測量の正確さを確保することなどを目的として、測量の実施の基準等を定めており、国又は公共団体が費用の全部又は一部を負担し又は補助して実施するなどする測量のうち、規模や精度に関する一定の要件を満たすものは、公共測量に該当することとなっている。そして、公共測量を実施する場合は、公共測量を計画する事業主体(以下「測量計画機関」という。)から国土地理院に計画書及び測量成果を提出するなどの公共測量の手続を行わなければならないこととなっており、当該手続を行うことにより、測量成果は、その精度が確保され、他の測量計画機関等により様々な用途に利活用されることになっている。しかし、測量計画機関が公共測量の手続を適切に行っていないため、その測量成果について、公共測量としての精度が確保されていることを客観的に確認できない状況となっていたり、国土地理院において一般の閲覧に供されていなかったりなどしていて、他の測量計画機関等が様々な用途に利活用できる状況になっていない事態が見受けられた。

したがって、農林水産省において、測量計画機関が農業農村整備事業等の一環として測量を実施する場合には、公共測量に該当する測量について計画書及び測量成果を国土地理院に提出するなどの公共測量の手続を適切に行うよう、地方農政局等の測量計画機関に対して十分に指導するとともに、地方農政局等を通じるなどして都道府県、市町村等の測量計画機関に対して十分に助言を行うなどするよう、農林水産大臣に対して令和4年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。

2 当局が講じた処置

本院は、農林水産本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、5年3月に地方農政局等に通知等を発して、測量計画機関が測量を実施する場合には、公共測量の意義や手続について十分に確認するなどして、公共測量に該当する測量について計画書及び測量成果を国土地理院に提出するなどの公共測量の手続を適切に行うよう、地方農政局等の測量計画機関に対して指導するとともに、地方農政局等を通じるなどして都道府県、市町村等の測量計画機関に対して助言を行う処置を講じていた。そして、同年5月に全ての地方農政局等及び都道府県の担当者を対象とした会議を開催するなどして、上記の通知等に基づき公共測量の手続を適切に行うよう、指導又は助言を行う処置を講じていた。