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  • 令和4年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 国土交通省|
  • 令和3年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1) Go To トラベル事業における取消料対応費用等の支払について


(令和3年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した適宜の処置及び改善の処置

観光庁は、ツーリズム産業共同提案体(以下「事務局」という。)に委託して実施しているGo To トラベル事業の一時停止措置等により取り消された旅行商品の予約について、事務局を通じて旅行業者等に対して、取消料対応費用及び当該費用を旅行業者等から観光関連事業者に配分するなどの事務に係る費用(以下「取消料対応費用等」という。)を支払う措置を講じている。そして、事務局は、「一時停止等の措置に係る旅行取消による取消料対応取扱要領」(以下「取扱要領」という。)等に基づき、旅行業者等から提出された予約日、取消日等を記載した一覧表(以下「予約リスト」という。)の内容等について確認(以下「事前審査」という。)を行い、一定の要件を満たす予約について取消料対応費用を支払っている(以下、取扱要領等に基づく取消料対応費用の支払対象となるための要件を「支払要件」という。)。同庁は、事務局に対して、事前審査を終えた一部の申請に係る予約を抽出して、旅行業者等が保有している旅行商品の予約の内容、取消日等を証する書類等(以下「予約記録等」という。)の提出を旅行業者等に求めて改めて審査(以下「事後審査」という。)を行うよう指示し、事務局は、一部の予約について取消料対応費用等の支払対象とならないものであることを確認して、その結果を同庁に報告していた。しかし、同庁は、事後審査の対象範囲を拡充するなどの対応を事務局に指示していなかった。そこで、本院において、事後審査の対象とされなかった予約等について、取消料対応費用等の支払対象となるか確認したところ、予約記録等に記載された実際の取消日が取扱要領に定める対象期間に該当しないなど支払要件を満たしていないのに取消料対応費用等が支払われている事態、予約リストの記載内容上、支払要件を満たしていないなどしているのに取消料対応費用が支払われている事態及び事務局による審査が十分でない事態が見受けられた。

したがって、観光庁長官に対して令和4年10月に、次のとおり是正及び改善の処置を要求した。

ア 予約記録等に記載された実際の取消日が取扱要領に定める対象期間に該当しないなど支払要件を満たしていないのに取消料対応費用等が支払われている事態について、事務局に対して、改めて支払対象とならない取消料対応費用等を算出し、その返還を旅行業者に求めるなどした上で、当該取消料対応費用等に相当する委託費を国庫に返還させること(会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求したもの)

イ 予約リストの記載内容上、支払要件を満たしていないなどしているのに取消料対応費用が支払われている事態について、事務局に対して、予約記録等に基づき実際の予約の内容が支払要件を満たすなどしていることが確認されたものを除き、アと同様に返還させること(同法第34条の規定により是正の処置を要求したもの)

ウ 事務局に対して、効率的な確認方法等を検討させた上で、これまでの事後審査の結果や本院の検査結果を踏まえて、申請内容に疑義がある予約を抽出するなど、事後審査の対象範囲を拡充して、取消料対応費用等の支払対象とならないものがないか確認を行うよう指示し、支払対象とならないことが確認されたものについては、アと同様に返還させること(同法第36条の規定により改善の処置を要求したもの)

2 当局が講じた処置

本院は、観光庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、観光庁は、本院指摘の趣旨に沿い、5年5月までに次のような処置を講じていた。

ア 予約記録等に記載された実際の取消日が取扱要領に定める対象期間に該当しないなど支払要件を満たしていないのに取消料対応費用等が支払われている事態について、事務局に対して、改めて支払対象とならない取消料対応費用等を算出させ、これを旅行業者から返還させた上で、事務局に支払う委託費から過大となっていた取消料対応費用等に相当する委託費を減額することにより、国庫に返還させた。

イ 予約リストの記載内容上、支払要件を満たしていないなどしているのに取消料対応費用が支払われている事態について、事務局に対して、予約記録等に基づき実際の予約の内容が支払要件を満たすなどしていることが確認されたものを除き、アと同様の方法等により、国庫に返還させた。

ウ 事務局に対して、効率的な確認方法等を検討させた上で、これまでの事後審査の結果や本院の検査結果を踏まえて、申請内容に疑義がある予約を抽出するなど、事後審査の対象範囲を拡充して、取消料対応費用等の支払対象とならないものがないか確認を行うよう指示し、支払対象とならないものについては、アと同様の方法等により、国庫に返還させた。