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  • 令和4年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 国土交通省|
  • 令和3年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(2) 空き家対策事業における空き家等の除却等について


(令和3年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置並びに要求した改善の処置

国土交通省は、空き家再生等推進事業及び空き家対策総合支援事業(以下、これらを合わせて「空き家対策事業」という。)を実施している。そして、社会資本整備総合交付金及び空き家対策総合支援事業に係る補助金(以下、これらを合わせて「補助金等」という。)を、空き家対策事業により空き家等の除却等をした所有者等に補助金等を交付する市区町村に交付している。空き家対策事業において、補助の対象となる空き家等の種類は不良住宅、空き家住宅等となっており、不良住宅の要件については、主として居住の用に供される建築物等でその構造等が著しく不良であるため居住の用に供することが著しく不適当なものであり、住宅地区改良法施行規則の「住宅の不良度の測定基準による測定表」(以下「測定表」という。)の評定項目に基づき不良度を測定した評点が100以上であるものとなっている。また、空き家住宅等の除却に当たっては、除却後の跡地を地域活性化のための計画的利用に供すること(以下「跡地の公益的利用」という。)が要件となっている。しかし、市町が実施した空き家対策事業において、不良住宅の要件を満たしていないものを不良住宅として除却していたものに補助金等が交付されている事態、空き家住宅等の跡地が実際に地域活性化に資するものとなっているか市町が把握していない事態及び跡地の公益的利用が行われていない事態が見受けられた。

したがって、国土交通大臣に対して令和4年10月に、次のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求め並びに改善の処置を要求した。

ア 不良住宅の要件を満たしていないものを不良住宅として除却していたものに補助金等が交付されていた市町に対して、補助金等の返還等の措置を執ること(会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求するもの)

イ 市区町村に対して、不良住宅は主として居住の用に供される建築物等が対象であることを十分に理解して確認すること、及び住宅の不良度の測定に当たっては測定表の評定項目に基づいた方法により行うことについて周知徹底すること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めるもの)

ウ 市区町村に対して、跡地の公益的利用が行われていないものについては、速やかに所有者等と協議の上、跡地の公益的利用についての同意等を得ることなどに努めることについて周知徹底すること(同法第36条の規定により改善の処置を要求するもの)

エ 空き家住宅等を除却した跡地について、市区町村の補助金の交付要綱等において、跡地の公益的利用の目的、必要期間、事業の実施前に所有者等から跡地の公益的利用についての同意等を書面等で得ることなどを定めているか、事業の実施前に市区町村が所有者等に跡地の公益的利用の必要性等を十分に説明しているかなどの実態を十分に把握し、市区町村に対して、把握した実態に応じて、これらの事項を実施することについて周知徹底すること(同法第36条の規定により改善の処置を要求するもの)

オ 空き家住宅等を除却した跡地について、市区町村が、事業の実施後に跡地の公益的利用の用途等を周辺住民等に周知しているか、跡地の公益的利用の状況を確認しているかなどの実態を十分に把握した上で、市区町村に対して、これらの事項を実施することにより跡地が実際に地域活性化に資するものとなっているか把握することの必要性について、周知徹底すること(同法第36条の規定により改善の処置を要求するもの)

2 当局が講じた処置

本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 5年4月までに、不良住宅の要件を満たしていないものを不良住宅として除却していたものに補助金等が交付されていた市町に対して、補助金等の返還の措置を執った。

イ 5年3月に通知を発するなどして、都道府県を通じるなどして市区町村に対して、不良住宅の除却に当たっては、主として居住の用に供される建築物等であることを確認すること、及び住宅の不良度の測定に当たっては測定表の評定項目に基づいた方法により行うことについて周知徹底した。

ウ イの通知等により、市区町村に対して、跡地の公益的利用が行われていないものについては、速やかに所有者等と協議の上、跡地の公益的利用についての同意等を得ることなどに努めることについて周知徹底した。

エ 4年11月から12月にかけて、空き家住宅等を除却した跡地の利用等に関する調査を行い、その結果を踏まえて、5年3月に、国土交通省が定めている空き家対策事業の要綱を改正して、事業の実施前に所有者等から跡地の公益的利用についての同意を書面等で得ることなどを空き家対策事業の補助の要件として定めた。そして、イの通知等により、市区町村に対して、市区町村の補助金の交付要綱等においても、跡地の公益的利用の目的、必要期間、事業の実施前に所有者等から跡地の公益的利用についての同意を書面等で得ることなどを定めて、事業の実施前に市区町村が所有者等に跡地の公益的利用の必要性等を十分に説明するなどするよう周知徹底した。

オ エのとおり、調査を行い、その結果を踏まえて、空き家対策事業の要綱を改正して、跡地の公益的利用の用途等を周辺住民等に周知することを空き家対策事業の補助の要件として定めた。そして、イの通知等により、市区町村に対して、空き家住宅等を除却した跡地について、事業の実施後に跡地の公益的利用の用途等を周辺住民等に周知すること、及び跡地の公益的利用の状況を確認することにより跡地が実際に地域活性化に資するものとなっているか把握することの必要性について周知徹底した。