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  • 令和4年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第14 独立行政法人住宅金融支援機構|
  • 令和3年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

証券化支援事業における住宅ローン債権に係る融資対象住宅の融資後の状況の把握等について


(令和3年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した適宜の処置及び表示した意見

独立行政法人住宅金融支援機構(以下「機構」という。)は、民間の金融機関(以下、単に「金融機関」という。)においてフラット35等の商品名で販売されている長期固定金利の住宅ローン(以下「フラット35」という。)の債権を買い取るなどの証券化支援事業を実施しており、独立行政法人住宅金融支援機構業務方法書等において、金融機関から買い取るフラット35の債権(以下「買取債権」という。)は、自ら居住する住宅を建設し、又は購入する者に対する貸付けに係るものであることなどの要件に適合するものでなければならないなどとしている。しかし、フラット35の融資を受けている者(以下「借受者」という。)が融資を受けて取得する住宅(以下「融資対象住宅」という。)に自ら居住せず第三者に居住用として賃貸(以下「第三者賃貸」という。)していたり、融資対象住宅の全部又は一部を店舗、事務所等として使用(以下「用途変更」という。)していたりしていて買取債権が要件に適合していない事態、買取債権について第三者賃貸や用途変更等の有無等についての実態調査(以下「融資後状況調査」という。)を行うことを規定していなかったり、借受者が機構の調査に応じない場合にどのように対応するかなどについて規程等に定めていなかったりしていて、機構が融資対象住宅の融資後の状況を十分に把握し、対応することができていない事態、及び融資対象住宅のうち、主としてその居住の用に供する住宅以外の住宅(以下「セカンドハウス」という。)の第三者賃貸や用途変更が生じやすいという特質を踏まえた融資後の状況を十分に把握するための方策を講じていない事態が見受けられた。

したがって、独立行政法人住宅金融支援機構理事長に対して令和4年10月に、次のとおり是正の処置を要求し及び意見を表示した。

ア 買取債権が要件に適合していない事態について、借受者に対して要件に適合するよう必要な対応を執らせて、借受者が必要な対応を執ることができない場合には全額繰上償還の請求等の必要な措置を講ずること(会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求したもの)

イ 買取債権についても融資後状況調査を行うことを規定し、融資対象住宅の融資後の状況の把握等を適時適切に実施する体制を整備すること、また、セカンドハウスについては、その特質を踏まえて借受者が自ら居住していることを確認、調査するための方策を講ずること(同法第36条の規定により意見を表示したもの)

ウ 借受者に対する融資後状況調査の実効性を確保するために、機構の調査に応じない場合の対応等を検討し、これを規程等に定めること(同法第36条の規定により意見を表示したもの)

2 当局が講じた処置

本院は、機構本店において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、5年8月までに次のような処置を講じていた。

ア 買取債権が要件に適合していない56件の事態について、要件に適合していない事態を解消するために必要な対応を執るよう借受者に求めた。これを受けて、借受者において任意の繰上完済等の対応が執られ、また、借受者が必要な対応を執ることができない場合には全額繰上償還の請求を行うなどの必要な措置を講じた。

イ 買取債権に係る規程を改正して買取債権について融資後状況調査を行うことを規定するとともに、融資後状況調査の具体的な方法等を定めた実施細則を制定した。そして、融資後状況調査を担当する職員を増員したり、融資後状況調査を効率的に実施するための方策を講じたりして、融資対象住宅の融資後の状況の把握等を適時適切に実施する体制を整備した。また、セカンドハウスについて、全ての買取債権を対象として融資後状況調査を実施することとし、上記の実施細則においてその特質を踏まえて借受者が自ら居住していることの確認、調査方法等を定めた。

ウ 借受者が融資後状況調査に応じない場合であっても、機構が把握した融資対象住宅に関する情報等に基づき、第三者賃貸や用途変更等の要件違反の有無を判断した上で、繰上償還の請求等の必要な措置を講ずることなどをイの実施細則に定めた。