病床確保事業等は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いコロナ病床がひっ迫する状況の中で、政府の方針に基づき全国の医療機関を対象として多額の国費を投入して実施されている事業であり、その実施状況等について様々な議論がなされるなど、国民の関心は高いものとなっている。
そこで、会計検査院は、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、病床確保事業等の実施状況等について、次の点に着眼するなどして検査した。
ア 交付金及び受入補助金の交付状況はどのようになっているか。
イ 全国におけるコロナ病床の確保等の状況はどのようになっているか。
ウ 交付金や受入補助金の交付の対象となった医療機関における確保病床の状況等はどのようになっているか。
エ 交付金や受入補助金の交付の対象となった医療機関の医業収支の状況はどのようになっているか。
オ 病床確保事業における病床確保料等は医療機関の実態に沿ったものとなっているか。
検査に当たっては、2、3両年度に実施された病床確保事業等を対象として、47都道府県及び交付金や受入補助金の交付の対象となった全3,483医療機関のうち、国が出資等を行っている独立行政法人等が設置する医療機関及び確保病床数が一定数以上である(注14)などの医療機関であって、3年度末時点においてコロナ病床の確保を行っていた計496医療機関(全3,483医療機関に対する割合14.2%)から調書の提出を受けてその内容を確認するなどして検査するとともに、厚生労働本省、13都道府県(注15)及び上記496医療機関のうち107医療機関において交付申請書、事業実績報告書等の関係書類により会計実地検査を行った(検査の対象とした496医療機関の医療機関名は別図表1参照)。
なお、検査の対象とした496医療機関には、許可病床数(注16)が200床以上の地域医療支援病院(注17)が255医療機関、地域医療支援病院のほかに、許可病床数が400床以上の特定機能病院が61医療機関、計316医療機関(いずれも3年度末現在。496医療機関の63.7%)あるなど、全国の病院(注18)全体(地域医療支援病院及び特定機能病院の占める割合は9.4%)に比べて病床数の多い医療機関が多く含まれている。