新型コロナウイルス感染症は、令和元年12月以降、その感染が国際的な広がりを見せた。我が国においても、多数の感染者が確認され、感染の拡大に伴い、医療機関において、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れるための病床がひっ迫する状況が生じたことから、政府は、「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」(令和2年2月新型コロナウイルス感染症対策本部決定)及び「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和2年3月新型コロナウイルス感染症対策本部決定)を定め、都道府県を通して、新型コロナウイルス感染症患者等を集約して優先的に受け入れる医療機関を指定するなどして地域の医療機関の役割分担を行うとともに、一般の医療機関の一般病床等を活用して、新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れるための病床を確保することとし、交付金等により新型コロナウイルス感染症患者受入れのための病床確保事業等を実施している。
そして、病床確保事業等は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い同感染症患者を受け入れるための病床がひっ迫する状況の中で、上記の方針に基づき全国の医療機関を対象として多額の国費を投入して実施されている事業であり、その実施状況等について様々な議論がなされるなど、国民の関心は高いものとなっている。
本報告書は、以上のような状況を踏まえて、新型コロナウイルス感染症患者受入れのための病床確保事業等の実施状況等について検査し、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
令和5年1月
会計検査院
[医療機関において、確保病床数には、コロナ患者等を担当する医師、看護師等の人数を増員できた場合に受入可能となる病床が含まれていたが、実際は想定していた人数を確保できなかったため、都道府県調整本部等からのコロナ患者等の入院受入要請を断っていたもの]