国は、平成23年3月の東日本大震災発生後、同年6月に東日本大震災復興基本法(平成23年法律第76号)に基づく東日本大震災からの復興の基本方針を定め、23年度から10年間を復興期間とし、当初の5年間を集中復興期間として位置付け、既存の制度の見直し、財政支援、自由度の高い交付金の創設等の施策を実施し、28年度からの5年間を復興・創生期間として位置付け、被災者支援やコミュニティの形成、避難指示の解除と帰還に向けた取組等の施策を実施してきている。そして、国は、令和元年12月に「復興・創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針を定め、これまでに実施した施策の総括を行うこととし、また、2年7月には3年度から7年度までを新たに第2期復興・創生期間と位置付け、3年度以降の復興の円滑かつ着実な遂行を期するための取組が進められている。
会計検査院は、平成24年8月27日、参議院から、国会法(昭和22年法律第79号)第105条の規定に基づき、東日本大震災からの復興等に対する事業に関する事項について会計検査を行いその結果を報告することを求める要請を受けて、検査を実施し、その結果を同年10月から29年4月までの間に計5回報告しており、5回目となる29年の報告において、復興・創生期間における事業の実施状況についても、引き続き検査していくと記述している。
その後、会計検査院は、令和元年6月10日、参議院から、同条の規定に基づき、福島第一原子力発電所事故に伴い放射性物質に汚染された廃棄物及び除去土壌等に関する事項について会計検査を行いその結果を報告することを求める要請を受けて、検査を実施し、その結果を3年5月26日に報告するとともに、同年6月7日、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(平成23年法律第110号)に基づく除染事業、汚染廃棄物処理事業、中間貯蔵施設事業等に関する事項について、同様に参議院から同条の規定に基づく要請を受けて検査を実施しているところである。
本報告書は、上記のとおり別途報告するなどしている除染事業等に関する事項を除き、23年度から令和2年度までの10年間における、東日本大震災からの復興等に関する事業の実施状況について検査を行うとともに、一部の事業等については3年度以降の復興の状況についても検査を行い、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
令和5年2月
会計検査院