平成23年度から令和2年度までの10年間に及ぶ復興期間(当初)が終了し、3年度からは第2期復興・創生期間として、新たな基本方針に基づく取組が始まっている。
そこで、会計検査院は、別途報告(注11)するなどしている除染事業等に関する事項を除き、29年報告に引き続き、復興期間(当初)における復旧・復興予算の執行状況等、国から財政支援等を受けて地方公共団体等が実施する復旧・復興事業の状況並びに復旧・復興事業の実績及び成果の状況について、特に復興・創生期間における事業の実施状況等を中心として、合規性、効率性、有効性等の観点から、次の点に着眼して検査した。
ア 復旧・復興予算の執行状況等
復旧・復興予算は、どのような経費に配分され執行されているか。また、復興財源はどのように確保されているか、事業規模に見合うものとなっているか。
イ 国から財政支援等を受けて地方公共団体等が実施する復旧・復興事業の状況
復興期間(当初)において、国からの財政支援等を受けて地方公共団体等が実施する事業等の執行状況等はどのようになっているか。特に、地方公共団体等が国からの国庫補助金等の交付を受けて設置造成又は積増し(以下「設置造成等」という。)を行った基金により復旧・復興事業を実施する事業(以下「復興関連基金事業」という。)及び復興交付金事業は、計画どおりに進捗し実施されているか。また、使用見込みのない額が基金に滞留するなどしていないか。
ウ 復旧・復興事業の実績及び成果の状況
(ア) 復興期間(当初)に実施された復旧・復興事業により、どのような施設等が整備され、これらによりどのような成果が得られているか。特に、津波防災に関する施策に係る事業は適切に実施され、災害に強い地域づくりに寄与しているか。復興交付金事業等による住宅や土地の整備等は被災者の住まいの再建等に寄与しているか。産業再生に関する事業は企業の立地や雇用の創出に寄与しているか。また、被災者支援に関する復旧・復興事業は、避難生活の長期化、復興の進捗等の状況に対応して実施されているか。
(イ) 東北3県における避難者の状況はどのようになっているか。特に、原子力災害からの復興及び再生に向けて引き続き様々な取組が実施されている福島県における住民の帰還等の状況等はどのようになっているか。
会計検査院は、平成23年度から令和2年度までの復興期間(当初)に復旧・復興予算が措置されている16府省庁等を対象として検査するとともに、次のアからウまでの11道県及び管内227市町村(以下「特定被災自治体」という。)における復旧・復興事業等、特に特定被災自治体のうち東北3県及び管内127市町村における復興関連基金事業、復興交付金事業、被災者支援総合交付金事業、福島再生加速化交付金事業等の実施状況、成果等について検査した。なお、一部の事業等については、3年度以降の状況についても検査した。
ア 「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律」(平成23年法律第40号)第2条第2項に規定する地方公共団体(以下「特定被災地方公共団体」という。)である青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉、新潟、長野各県
イ 特定被災地方公共団体である市町村及びその区域が特定被災区域(同条第3項に規定する区域をいう。)内にある特定被災地方公共団体以外の市町村
ウ アの9県以外で特定被災地方公共団体である市町が所在する北海道及び埼玉県
検査に当たっては、7省庁(注12)並びに東北3県を含む4県(注13)及び管内15市町村において、実績報告書等の関係書類を確認するなどして会計実地検査を行うとともに、10府省庁(注14)の内部部局等並びに11道県及び管内135市町村等から調書及び関係書類を徴するなどして把握した内容等を基に分析を行った。