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  • 令和5年度|
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  • (1) 補助対象事業費を過大に精算するなどしていたもの

子どものための教育・保育給付交付金の交付対象事業費を過大に精算していたもの[6府県](1)―(7)


(7件 不当と認める国庫補助金  35,422,951円)

子どものための教育・保育給付交付金(以下「交付金」という。)は、小学校就学前の子どもの保護者が教育・保育給付の認定を受けた場合の当該子ども(以下「給付認定子ども」という。)に対して社会福祉法人等が設置する保育所や認定こども園等(以下、これらを合わせて「民間保育所等」という。)が教育又は保育を実施する際に、市町村(特別区を含む。)が当該民間保育所等に対して支弁する施設型給付費等の支給等に要する費用の一部について国が交付するものである。

交付金の交付額は、「子どものための教育・保育給付交付金の交付について」(平成30年府子本第333号)等に基づき、次のとおり算定することとなっている。

  • 費用の額
  • 利用者負担額
  • 交付対象事業費
  • 交付対象事業費
  • ×
  • 国庫負担率
  • 交付金の交付額
(注)
国庫負担率  令和元年度は1/2又は55.2/100、2年度は1/2又は56.835/100、3年度は1/2又は57.72/100

この費用の額は、民間保育所等の所在地域、利用定員、給付認定子どもの年齢等の別に1人当たり月額で定められている基本分単価や各種加算の額に、各月の給付認定子ども数を乗ずるなどして算出した年間の合計額によることなどとなっている。ただし、民間保育所等による教育・保育の確保が著しく困難である離島その他の地域に居住するなどの給付認定子どもに対して、市町村が民間保育所等において求められる職員の年齢別配置基準等の適用を受けない保育である特例保育を提供する場合の費用の額は、市町村が内閣府との間で毎年度協議を行った上で定めている。そして、各種加算には、3歳以上の給付認定子どもの利用定員に係る必要保育教諭等の数を超えて配置して、低年齢児を中心として小集団化したグループ教育を実施する場合に計上するチーム保育加配加算、利用定員が所定の規模であって全ての学級に専任の学級担任を配置できるように年齢別配置基準に加えて保育教諭等を配置する施設に計上する学級編制調整加配加算、利用定員が所定の規模であって必要保育教諭等の数を超えて非常勤講師を配置する施設に計上する講師配置加算等がある。

また、民間保育所等において一時預かり事業等の所定の事業等(以下「所定の事業等」という。)を複数実施していない場合や所定の要件を満たす管理者を配置していない場合等には、基本分単価等を減額することとなっている。

本院が、25都道府県の123事業主体において会計実地検査を行ったところ、6府県の7事業主体において、所定の要件を満たしていないなどしていたのに、誤って、チーム保育加配加算、学級編制調整加配加算、講師配置加算等を計上し、また、基本分単価等を減額していないなどしており、費用の額を過大に算定するなどしていたため、交付対象事業費が過大に精算されていて、これに係る交付金相当額計35,422,951円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、7事業主体において交付対象事業費の算定に当たり、費用の額の算定等の際に、加算等の要件等の理解、要件への適合状況の確認等が十分でなかったことなど、6府県において事業実績報告書の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

事例

兵庫県姫路市は、認定こども園Aに係る令和3年度の費用の額の算定に当たり、4年1月において、必要保育教諭等の数を超えて配置していた保育教諭等を2人であるとして、チーム保育加配加算を計上していた。また、3年4月から4年3月まで、所定の事業等を複数実施しているとして費用の額を算定していた。

しかし、認定こども園Aは、年度途中の入所者の増加により4年1月において、必要保育教諭等の数が増えたことから、必要保育教諭等の数を超えて配置していた保育教諭等は1人であったのに、同市は、誤って、2人であるとしてチーム保育加配加算を計上していた。また、3年4月から4年3月まで、所定の事業等を複数実施していなかったのに、基本分単価等を減額していなかった。このほか、認定こども園A以外の25園に係る費用の額の算定において、同加算を含む各種加算の計上を誤っているものや、所定の事業等を複数実施していなかった場合の基本分単価等の減額を行っていないものがあった。これらのことから、同市は、費用の額を過大に算定していた。

このため、交付対象事業費20,430,630円が過大に精算されていて、これに係る交付金相当額10,215,315円が過大となっていた。

以上を部局等別・事業主体別に示すと次のとおりである。

 
部局等
交付金事業者
(事業主体)
交付金事業
年度
事業費
左に対する交付金交付額
不当と認める事業費
不当と認める交付金相当額
摘要
          千円 千円 千円 千円
(1)
群馬県
藤岡市
子どものための教育・保育給付交付金
元~3
5,313,587 2,821,867 9,807 4,958
講師配置加算等を誤って計上していたものなど
(2)
山梨県
中巨摩郡昭和町
元、3
1,782,088 947,093 6,726 3,378
チーム保育加配加算等の計上額が誤っていたもの
(3)
愛知県
大府市
2、3
2,475,945 1,333,258 16,766 8,279
学級編制調整加配加算等を誤って計上していたものなど
(4)
大阪府
守口市
3
4,705,943 2,553,482 5,988 2,994
チーム保育加配加算の計上額が誤っていたもの
(5)
兵庫県
姫路市
3
10,139,418 5,381,144 20,430 10,215
チーム保育加配加算等の計上額が誤っていたものなど
(6)
西宮市
3
8,631,825 4,704,301 3,424 1,712
基本分単価等を減額していなかったもの
(7)
奈良県
吉野郡天川村
2、3
31,000 17,757 6,760 3,884
基本分単価等を減額していなかったものなど
(1)―(7)の計
33,079,808 17,758,905 69,906 35,422