こども家庭庁(令和5年3月以前は内閣府本府)は、子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)等に基づき、市町村(特別区を含む。以下同じ。)が認定こども園等に対して支弁する施設型給付費等に要する費用の一部について、子どものための教育・保育給付交付金を交付している。費用のうち認定こども園に係る基本分単価(認定こども園等の所在地域、利用定員等の別に1人当たり月額で定められている単価)には、園児の教育及び保育をつかさどるなどする主幹保育教諭等2人(教育給付認定を受ける子ども及び保育給付認定を受ける子どもの両方の利用がある場合)又は1人(いずれか一方のみの利用がある場合)分と、主幹保育教諭等を教育・保育計画の立案、保護者や地域住民からの教育・育児相談、地域の子育て支援活動等の取組に専任化させるための代替保育教諭等2人又は1人分の人件費等に相当する費用が、あらかじめ含まれている。しかし、認定こども園に係る同交付金について、費用の額の算定に当たり、主幹保育教諭等2人又は1人を配置していない場合に基本分単価等から減額する調整(以下「減額調整」という。)を行う必要があることが明確に示されていないため、減額調整が行われておらず交付額の算定が適切に行われていない事態が見受けられた。
したがって、内閣府特命担当大臣に対して5年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり改善の処置を要求した。
ア 「特定教育・保育等に要する費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について」(以下「留意事項通知」という。)等において、認定こども園に係る基本分単価には主幹保育教諭等2人又は1人を配置するための費用が含まれていること及び主幹保育教諭等2人又は1人を配置していない場合には減額調整を行う必要があることを明確に示し、都道府県を通じて市町村に対して周知するとともに、市町村を通じるなどして認定こども園に対しても周知すること
イ 都道府県を通じて市町村に対して、認定こども園に係る費用の額の算定に当たり、認定こども園から各種加算の認定や減額調整に関する申請を受けた際等に、主幹保育教諭等の配置等に係る減額調整の必要性等について十分に確認するよう助言を行うこと
本院は、こども家庭庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、こども家庭庁は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 5年12月に事務連絡を発出するとともに、6年3月に留意事項通知を改正して、認定こども園に係る基本分単価には主幹保育教諭等2人又は1人を配置するための費用が含まれていること及び主幹保育教諭等2人又は1人を配置していない場合には減額調整を行う必要があることを明確に示し、都道府県を通じて市町村に対して周知するとともに、市町村を通じるなどして認定こども園に対しても周知した。
イ 6年7月に事務連絡を発出するなどして、都道府県を通じて市町村に対して、認定こども園に係る費用の額の算定に当たり、主幹保育教諭等の配置状況が分かる資料の添付等に関する記述を加えた参考様式を示し、これを活用することなどにより、認定こども園から各種加算の認定や減額調整に関する申請を受けた際等に、主幹保育教諭等の配置等に係る減額調整の必要性等について十分に確認するよう助言を行った。