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  • 令和5年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 補助金

(2) 離島伝送用専用線設備維持管理事業の補助対象事業費に対象とならない経費を含めていたもの[総務本省](30)


1件 不当と認める国庫補助金 1,820,000円

無線システム普及支援事業費等補助金(離島伝送用専用線設備維持管理事業)は、電波法(昭和25年法律第131号)、無線システム普及支援事業費等補助金交付要綱(平成17年総基移第380号。以下「交付要綱」という。)等に基づき、無線局の開設に必要な伝送用専用線設備(注1)の維持管理を行うために、離島(注2)に整備された伝送用専用線設備を保有する地方公共団体等に対して、当該設備の維持管理に要する経費の一部を国が補助するものである。

(注1)
伝送用専用線設備  無線局の開設に必要な伝送路設備、伝送路設備と一体として設置される附属設備及びこれらの設備を設置するために必要な工作物
(注2)
離島  離島振興法(昭和28年法律第72号)第2条第1項の規定に基づき離島振興対策実施地域として指定された地域、小笠原諸島振興開発特別措置法(昭和44年法律第79号)第4条第1項に規定する小笠原諸島、鹿児島県の区域のうち奄美市及び大島郡の区域並びに沖縄県の区域

本院が都及び2市村において会計実地検査を行ったところ、1村において次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

 
部局等
補助事業者
(事業主体)
補助事業
年度
補助対象事業費
左に対する国庫補助金交付額
不当と認める補助対象事業費
不当と認める国庫補助金相当額
摘要
          千円 千円 千円 千円  
(30)
総務本省
新島村
離島伝送用専用線設備維持管理事業
3、4 14,072 7,035 3,640 1,820
補助の対象とならない経費を含めていたもの

新島村は、離島振興対策実施地域として指定された新島及び式根島の島内に整備されている伝送用専用線設備の維持管理を行うために、離島伝送用専用線設備維持管理事業を令和3年度は事業費22,616,120円(補助対象事業費7,926,609円、国庫補助金交付額3,963,000円)、4年度は事業費23,082,080円(補助対象事業費6,145,924円、国庫補助金交付額3,072,000円)、事業費計45,698,200円(補助対象事業費計14,072,533円、国庫補助金交付額計7,035,000円)で実施していた。

交付要綱等によれば、補助対象事業費は、事業の実施に必要な保守料、修繕費等の経費(以下「運用経費」という。)から事業の実施に伴う光ファイバ等の設備を電気通信事業者に貸し付けた場合における施設貸付料等の収入を差し引いた額とすることとされていて、引込線に係る修繕費は対象外とすることとされている(参考図参照)。

同村は、3、4両年度に、電気通信事業者と光ファイバ等の設備の保守業務に係る委託契約をそれぞれ契約金額16,059,120円で締結していた。そして、当該契約金額を含めた運用経費から施設貸付料等の収入を差し引いた額を補助対象事業費とした実績報告書等を総務本省に提出して、それぞれ前記3、4両年度の国庫補助金の交付を受けていた。

しかし、委託契約の保守業務には引込線の修繕が含まれており、3、4両年度の実績報告書における運用経費には、いずれも引込線に係る修繕費相当額7,893,381円が含まれていた。

したがって、上記の運用経費から補助の対象外とされている引込線に係る修繕費相当額を控除するなどして適正な補助対象事業費を算出すると3、4両年度計10,431,995円となることから、3、4両年度の実績報告書の補助対象事業費計14,072,533円は、これに比べて3,640,538円過大となっていて、これに係る国庫補助金相当額計1,820,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同村において補助対象事業費の算定についての理解が十分でなかったこと、総務本省において実績報告書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

参考図

補助の対象範囲の概念図

補助の対象範囲の概念図