ページトップ
  • 令和5年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第5 文部科学省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

(1) 公立学校情報機器整備費補助金が過大に交付されていたもの[4都県] (37)―(41)


5件 不当と認める国庫補助金 97,238,000円

公立学校情報機器整備費補助金(以下「補助金」という。)は、公立の小学校、中学校等において児童生徒の学習者用コンピュータ(以下「端末」という。)を整備するなどして、公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で実現させることなどを目的として、地方公共団体等が補助事業を実施するために必要な経費の一部を国が補助するものである。

公立学校情報機器整備費補助金交付要綱(令和2年文部科学大臣決定)等によれば、補助事業のうち、「公立学校情報機器リース事業」(以下「リース事業」という。)の補助対象経費は、端末をリース契約により整備する場合の経費とされ、補助金の交付額は、令和元年5月1日時点の学校基本調査の児童生徒数の3分の2の端末数に1台当たり45,000円(へき地学校等については45,900円)を乗じた金額を上限とすることなどとされている。リース事業の実施に当たっては、地方公共団体とリース契約の相手方である民間団体(以下「リース業者」という。)の両者が共同して補助事業者となり、国は補助金をリース業者に交付することとされていて、リース業者が交付された補助金の金額をリース契約の金額から減額することにより、地方公共団体の負担を軽減する仕組みとなっている。

リース事業においては、地方公共団体がリース業者から補助の対象となる端末を借り受ける場合には、これに係る消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)額に相当する額(以下「消費税相当額」という。)が補助対象経費に含まれる。リース業者が消費税の課税事業者であれば、リース業者による端末の仕入れは消費税法(昭和63年法律第108号)上の資産の譲渡等に該当し、課税仕入れとなることから、確定申告の際に課税売上高に対する消費税額から当該仕入れに係る消費税額を仕入税額控除(注)した場合には、リース業者はこれに係る消費税額を実質的に負担していないことになる。一方、補助金は資産の譲渡等の対価には該当しないことから、消費税については不課税となる。このため、「公立学校情報機器整備費補助金(公立学校情報機器購入・リース事業)の実績報告について」(令和3年文部科学省初等中等教育局情報教育・外国語教育課事務連絡)において、地方公共団体及びリース業者は、補助事業完了後に消費税の確定申告により仕入税額控除するなどした消費税額に係る国庫補助金相当額が確定した場合には、その額を速やかに都道府県教育委員会に報告し、当該金額を返還しなければならないこととなっている。

(注)
仕入税額控除  課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除すること

本院が、5都府県、39市区町及び6会社において会計実地検査を行ったところ、5市町、3会社、計5事業主体(うち3事業主体は1会社が重複している。)において、消費税の確定申告の際に、補助金を不課税取引とするなどして端末の仕入れに係る消費税額の仕入税額控除を行い、仕入税額控除するなどした消費税額に係る国庫補助金相当額の報告及び返還を行っていなかったため、補助金計97,238,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、5事業主体において補助事業における消費税の取扱いに対する理解が十分でなかったこと、4都県において補助事業における消費税の取扱いについての指導及び審査が十分でなかったことによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

事例

静岡県磐田市及びみずほ東芝リース株式会社は共同の補助事業者として、令和2年度に、リース契約に係る補助の対象となる端末9,194台の物件費376,117,346円に消費税相当額37,612,654円を加えて補助対象経費を413,730,000円(補助金交付額同額)と算定していた。

しかし、同会社は、補助事業完了後の消費税の確定申告の際に、補助金を不課税取引として課税売上げに計上せず端末の調達に係る消費税額を仕入税額控除するなどし、これに係る国庫補助金相当額が確定していたのに、同市及び同会社は、その額の報告及び返還を行っていなかった。

したがって、上記の仕入税額控除するなどした消費税相当額37,612,654円を補助対象経費から控除するなどして適正な補助金額を算定すると376,117,000円となり、前記の補助金交付額との差額37,613,000円が過大に交付されていた。

以上を部局等別・事業主体別に示すと次のとおりである。

 
部局等
補助事業者
(事業主体)
補助事業
年度
補助対象経費
左に対する国庫補助金交付額
不当と認める補助対象経費
不当と認める国庫補助金交付額
摘要
          千円 千円 千円 千円  
(37)
福島県
須賀川市及びリコーリース株式会社
公立学校情報機器リース事業
2 187,245 187,245 17,022 17,023
補助金を誤って課税売上げに計上して仕入税額控除を行い、仕入税額控除した消費税額に係る国庫補助金相当額の報告及び返還を行っていなかったもの
(38)
東京都
西多摩郡瑞穂町及びみずほ東芝リース株式会社
2 71,190 71,190 6,471 6,473
補助金を課税売上げに計上せず仕入税額控除した消費税額に係る国庫補助金相当額の報告及び返還を行っていなかったもの
(39)
静岡県
磐田市及びみずほ東芝リース株式会社
2 413,730 413,730 37,612 37,613
(40)
駿東郡長泉町及び静銀リース株式会社
2 120,870 120,870 10,988 10,989
(41)
愛媛県
新居浜市及びみずほ東芝リース株式会社
2 276,534 276,534 25,140 25,140
(37)―(41)の計 1,069,569 1,069,569 97,235 97,238