1件 不当と認める国庫補助金 22,449,000円
沖縄振興公共投資交付金(学校施設環境改善に関する事業)(以下「交付金」という。)は、沖縄振興特別措置法(平成14年法律第14号)、沖縄振興公共投資交付金交付要綱(学校施設環境改善に関する事業)(平成24年文部科学大臣決定。以下「交付要綱」という。)等に基づき、沖縄県が作成する沖縄振興交付金事業計画によって実施される学校施設環境改善に関する事業(市町村が同県を通じて間接に交付金の交付を受けて実施するものを含む。)に要する経費に充てるために、国が同県に対して交付するものである。
交付要綱等によれば、沖縄振興交付金事業計画に記載された事業のうち交付金の算定の対象となる事業(以下「交付対象事業」という。)の種別は、小学校、中学校等の建物等の大規模改造で、教育内容及び方法の多様化等に適合させるための建物の内部改造に係る工事等の質的整備を行う事業(以下「大規模改造(質的整備)事業」という。)等とされている。
交付要綱によれば、学校施設環境改善交付金交付要綱(平成23年文部科学大臣裁定)の規定を準用するなどして交付金の交付額を算定することとされている。そして、交付金の交付額は、学校施設環境改善交付金交付要綱等に基づき、交付対象事業ごとに文部科学大臣が定める方法により算出した配分基礎額に交付対象事業の種別に応じて同大臣が定める割合(以下「算定割合」という。)を乗ずるなどして得た額と、交付対象事業に要する経費の額に算定割合を乗じて得た額のうち、少ない方の額の合計額を基礎として算定することとなっている。このうち、配分基礎額については、配分基礎額を算定する際の基礎となる面積(以下「配分基礎面積」という。)を算定して、これに交付対象事業の種別に応じて定められた単価を乗ずるなどの方法により算定することとなっている(次式参照)。
(交付額の算定式)
大規模改造(質的整備)事業における配分基礎額等については、「学校施設環境改善交付金の配分基礎額の算定方法等について」(令和2年文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部施設助成課長通知)によることとなっており、大規模改造(質的整備)事業として実施する工事のうち、トイレ改修工事に係る配分基礎面積は、改修工事を実施する部分の床面積の計とすることとなっている。
本院が、同県及び同県の9市町村において会計実地検査を行ったところ、1市において、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
部局等
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補助事業者
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間接補助事業者
(事業主体) |
年度
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交付金の交付額
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不当と認める交付金の交付額
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摘要
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千円 | 千円 | ||||||
(51) |
文部科学本省
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沖縄県
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糸満市
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2、3 | 54,094 | 22,449 | 適正な配分基礎面積を超える面積により配分基礎額を算定していたもの |
糸満市は、令和2、3両年度に、喜屋武小学校の大規模改造(質的整備)事業等14事業を実施して、交付金54,094,000円の交付を受けていた。
同市は、14事業のうち、同小学校の大規模改造(質的整備)事業等9事業においてトイレ改修工事を実施するに当たり、配分基礎面積は計2,410㎡であるとしていた。
しかし、上記の2,410㎡には、改修工事を実施していない部分の床面積が含まれており、トイレ改修工事に係る適正な配分基礎面積は、この床面積を除いた計143㎡となる。
したがって、適正な配分基礎面積に基づく配分基礎額により交付金の交付額を算定すると31,645,000円となることから、交付金22,449,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において交付金の交付額の算定方法についての理解が十分でなかったこと、同県において同市から提出された実績報告書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。