(2件 不当と認める国庫補助金 42,283,090円)
部局等
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補助事業者等
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間接補助事業者等
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補助事業等
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年度
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事業費
国庫補助対象事業費
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左に対する国庫補助金等交付額
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不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
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不当と認める国庫補助金等相当額
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(194) |
関東農政局
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群馬県
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株式会社岡直三郎商店
(事業主体) |
6次産業化市場規模拡大対策整備交付金
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3 | 75,366 (75,366) |
37,683 | 75,366 (75,366) |
37,683 |
(195) |
沖縄総合事務局
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沖縄県
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沖縄還元フーズ株式会社
(事業主体) |
同
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3 | 30,677 (30,677) |
15,337 | 9,203 (9,203) |
4,600 |
(194)(195)の計 | 106,043 (106,043) |
53,020 | 84,569 (84,569) |
42,283 |
この交付金は、農林水産業及び食品産業の持続的な発展に寄与することを目的として、輸出先国の規制やニーズに対応した輸出への取組を支援するなどのために、都道府県等に対して交付するものである。そして、交付金の交付を受けた都道府県等は、このような輸出への取組を実施する食品製造者等に対して、輸入条件又は輸出先国のニーズを満たすために必要な施設等の整備等に係る経費の一部について、交付金を交付している。
「6次産業化市場規模拡大対策整備交付金のうち食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備緊急対策事業実施要綱」(令和2年元食産第4500号農林水産事務次官依命通知)によれば、交付金事業の着手は、都道府県等から事業実施主体への交付決定に基づき行うこととされている。ただし、緊急かつやむを得ない事情により、交付決定前に着手する場合にあっては、事業実施主体は、あらかじめ、都道府県等の適正な指導を受けた上で、交付決定前着手届を都道府県知事等に提出することとされている。また、事業実施主体は、交付金事業が完了したときは、実績報告書に出来高設計書を添付して都道府県知事等に報告することとされており、都道府県知事等は、出来高設計書、工事請負契約書等の書類により事業費等を確認することとされている。
食品製造者である2事業主体は、令和3年度に、輸入条件又は輸出先国のニーズを満たすために必要な施設の改修工事等を事業費計106,043,377円(交付対象事業費同額)で実施したとして、2県に実績報告書、出来高設計書、工事請負契約書等を提出して、これにより交付金計53,020,000円の交付を受けていた。
しかし、2事業主体は、交付決定前着手届を提出した日又は交付決定日より前に事業に着手していたのに、虚偽の工事請負契約書等を提出して、当該事業に係る経費を交付対象事業費に含めていた。また、このうち1事業主体は、実績報告書で報告した事業費よりも低額で事業を実施していたのに、虚偽の領収証等を提出して、支払っていない額を交付対象事業費に含めるなどしていた。このため、交付対象事業費計84,569,557円が過大に算定されていて、これに係る交付金相当額計42,283,090円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2事業主体において本件交付金事業の適正な実施に対する認識が著しく欠けていたこと、2県において実績報告書等の審査及び2事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
株式会社岡直三郎商店(以下「会社」という。)は、令和3年度に、輸出先国の規制等に対応するために既存の醤油蔵の改修工事を行うとして、3年11月18日に交付決定前着手届を群馬県に提出していた。
その後、会社は、本件交付金事業について、同年12月1日に工事請負契約を締結し、事業費75,366,000円(交付対象事業費同額)で実施したとして、同県に実績報告書、出来高設計書、工事請負契約書等を提出して、これにより交付金37,683,000円の交付を受けていた。
しかし、上記の工事請負契約書等は虚偽のものであり、会社は、実際には交付決定前着手届を提出した日である同年11月18日より前(遅くとも同年9月1日まで)に前記の改修工事に係る発注を行っていた。
したがって、前記の交付対象事業費75,366,000円は交付の対象とは認められず、これに係る交付金37,683,000円が過大に交付されていた。