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  • 令和5年度|
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  • (1) 補助の対象とならないなどのもの

持続的生産強化対策事業のうち学校給食用牛乳安定需要確保対策事業において、補助対象事業費に補助の対象とならない供給区域に要した経費を含めていたもの[関東農政局](196)


(1件 不当と認める国庫補助金 2,632,437円)

 
部局等
補助事業者等
間接補助事業者等
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(196)
関東農政局
一般社団法人神奈川県乳業協会
(事業主体)
持続的生産強化対策
4 12,688
(12,688)
12,688 2,632
(2,632)
2,632

一般社団法人神奈川県乳業協会(以下「協会」という。)は、学校給食用牛乳の安定的な需要を確保するとともに、保護者負担額の軽減を図るために、この補助事業の一つである学校給食用牛乳供給推進事業のうち、学校給食用牛乳安定需要確保対策事業(以下「本件事業」という。)を実施している。協会は、本件事業により、輸送費が他の地域に比べて高い傾向にある山間部等に所在する学校への学校給食用牛乳の供給において、不利な供給条件に基づき掛増しとなる経費相当額の一部を供給事業者に支払っている。そして、協会は、この補助事業に要した経費と同額の国庫補助金の交付を受けている。

持続的生産強化対策事業実施要領(令和4年3農産第3175号、3畜産第1993号農産局長、畜産局長通知)等によれば、本件事業に係る国庫補助金は、学校給食用牛乳供給対策要領(平成15年15生畜第2865号農林水産省生産局長通知)に基づき都道府県知事が学校給食用牛乳の供給事業者及び供給価格を決定する単位として設定した区域(以下「供給区域」という。)において、「特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律」(平成5年法律第72号。以下「特定農山村法」という。)等の指定地域が含まれている場合(以下、国庫補助金が交付される供給区域を「補助対象区域」という。)に交付されることとされている。そして、本件事業に係る学校給食用牛乳200㏄当たりの補助金額は、0.5円以内とすることなどとされている。

関東農政局(以下「農政局」という。)は、令和3年度に補助対象区域の決定方法の見直しがあったことを踏まえて、情報提供の一環として、この補助事業の実施に先立って協会から農政局へ提出する事業実施計画の作成の参考のため、特定農山村法等の指定地域を確認して協会に対して補助対象区域を連絡するなどしていた。そして、農政局は、神奈川県における補助対象区域を確認するに当たり、特定農山村法の指定地域については、特定農山村法を所管する農林水産省のウェブサイトに指定地域の情報が掲載されていなかったことから神奈川県のウェブサイトに掲載されていた情報を確認した。農政局は、これを根拠に、協会に対して、秦野、厚木、伊勢原各市(以下「3市」という。)から成る供給区域を含む5供給区域が補助対象区域であると連絡した。

そして、協会は、農政局からの連絡に従って、当該5供給区域を補助対象区域とするなどとした事業実施計画及び交付申請書を農政局に提出し、その後、補助事業を事業費計12,688,994円(国庫補助対象事業費同額)で実施したとして実績報告書を農政局に提出し、国庫補助金12,688,994円の交付を受けていた。

しかし、農政局が特定農山村法の指定地域の根拠とした神奈川県のウェブサイトに掲載されていた情報は、中山間地域等直接支払制度の対象となる地域に関する情報であった。そして、3市についてみると、秦野市の一部が同制度の対象となる地域となっていたが、3市には特定農山村法等の指定地域に該当する地域はなかった。このため、3市から成る供給区域は補助対象区域とはならない。

したがって、3市から成る供給区域における本件事業に要した経費を除外して適正な国庫補助対象事業費を算定すると計10,056,557円となり、前記の国庫補助対象事業費12,688,994円との差額2,632,437円が過大となっていて、これに係る国庫補助金相当額2,632,437円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、農政局において、補助対象区域の確認が十分でなかったことなどによると認められる。