(1件 不当と認める国庫補助金 5,682,000円)
部局等
|
補助事業者
(所在地) |
間接補助事業者
(所在地) |
補助事業等
|
年度
|
事業費
補助対象事業費
|
左に対する国庫補助金交付額
|
不当と認める補助対象事業費
|
不当と認める国庫補助金相当額
|
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(207) |
経済産業本省
|
福島県
|
有限会社今野畜産
(福島県南相馬市) 〈事業主体〉 |
被災事業者自立支援事業費補助金
|
元、2 | 8,794 (7,576) |
5,682 | 7,576 | 5,682 |
この補助金は、被災事業者自立支援事業費補助金(事業再開・帰還促進基金)交付要綱(20160304財地第1号)等に基づき、被災地域における働く場の創出等のまち機能の早期回復に向けて、原子力災害によって被災した中小・小規模事業者(以下「原子力被災事業者」という。)の事業・生業の再建等を支援することを目的として、福島県に対して交付するものであり、補助金の交付を受けた同県は、福島県原子力災害被災事業者事業再開等支援基金(以下「基金」という。)を造成している(基金造成額156億余円)。そして、同県は、原子力災害により甚大な被害を受けた12市町村(注)において事業再開等計画に基づく事業再開や販路開拓等を行う原子力被災事業者等に対して、施設・設備の整備等に係る経費の一部を補助することにより、事業・生業の再建に向けた取組を促進することを目的として、基金を取り崩して「福島県原子力被災事業者事業再開等支援補助金」(以下「基金補助金」という。)を交付している(以下、基金補助金の交付を受けて原子力被災事業者が実施する事業を「基金補助事業」といい、基金補助事業を実施する原子力被災事業者を「基金補助事業者」という。)。
福島県原子力被災事業者事業再開等支援補助金交付要綱(平成28年4月施行)等によれば、基金補助事業者は、基金補助事業が完了した後も取得財産等を善良なる管理者の注意をもって管理するとともに、基金補助金の交付の目的に従ってその効率的運用を図らなければならないこととされている。また、基金補助事業により取得した財産等のうち、取得価格等が50万円以上の機械、器具、備品等は基金補助金の交付の目的に反して使用等してはならない財産(以下「処分制限財産」という。)とされており、基金補助事業者は、処分制限財産を知事が定めた処分制限期間内に基金補助金の交付の目的に反して使用し、又は貸付けなどをする場合には、あらかじめ知事に申請して承認を受けなければならないこととされている。
事業主体は、総菜や精肉商品小売の営業範囲を拡大し、地域経済の活性化を図ることなどを目的として、冷凍車及び当該冷凍車でけん引するキッチントレーラーを購入して移動販売事業を実施するとした事業再開等計画を作成し、令和元年7月に同県から基金補助金の交付決定を受けていた。そして、当該計画に基づき、移動販売事業を実施するための冷凍車1台及びキッチントレーラー1台を購入する基金補助事業を事業費8,794,555円(基金補助対象事業費7,576,777円)で実施したとする実績報告書を2年5月に同県に提出して同年7月に基金補助金5,682,000円(国庫補助金相当額同額)の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、冷凍車(基金補助対象事業費4,572,277円)について、同年1月の納品直後から、知事の承認を受けることなく通常の仕入れなどに使用していて、移動販売事業の用途には一度も使用していなかった。また、冷凍車と同日に納品されたキッチントレーラー(同3,004,500円)については、処分制限期間内である5年6月から6年1月までの間に、知事の承認を受けることなく第三者に無償で貸し付けられて移動販売事業とは関係のない用途で使用されていた。そして、事業主体は、その間も含めて移動販売事業の用途に一度も使用しておらず、現に、キッチントレーラー内の冷蔵庫や調理器具は、同年2月の会計実地検査時点においても納品当時のまま梱包された状態となっていた。
このように、事業主体は、冷凍車及びキッチントレーラーを2年1月に納品されてから処分制限期間を経過した後の6年2月の会計実地検査時点までの間、自らが作成した事業再開等計画に基づく移動販売事業の用途に一度も使用しておらず、基金補助金の交付の目的に従った運用を行っていなかった。
したがって、事業主体が本件基金補助事業において購入した冷凍車及びキッチントレーラーは、補助の目的を達しておらず、これらの購入に係る基金補助対象事業費7,576,777円について取り崩された基金5,682,000円(国庫補助金相当額同額)の使用が適切でなく、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、事業主体において基金補助事業の適正な執行に対する認識が欠けていたこと、同県において事業主体への指導が十分でなかったことなどによると認められる。