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  • (2) 補助金の交付額の算定が適切でなかったもの

公営住宅の家賃の低廉化に係る事業費の算定が適切でなかったもの [3県](230)―(232)


(3件 不当と認める国庫補助金 48,593,000円)

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(230)
宮城県
柴田郡柴田町
社会資本整備総合交付金
(公的賃貸住宅家賃低廉化)
平成28~30、
令和2~4
574,274
(574,274)
287,136 40,013
(40,013)
20,007
(231)
兵庫県
宍粟市
元~3 42,755
(42,755)
21,377 3,997
(3,997)
1,999
(232)
長崎県
壱岐市
平成30~令和3 100,220
(100,220)
45,098 59,081
(59,081)
26,587
(230)―(232)の計 717,249
(717,249)
353,611 103,091
(103,091)
48,593

3県の3市町は、それぞれが管理している公営住宅(柴田町の北船岡町営住宅、宍粟市の市営中山台団地等5団地及び壱岐市の寺頭団地等4団地の計10団地)に居住する者に対する家賃の低廉化を事業費計717,249,000円(交付金計353,611,000円)で実施している。

この公営住宅の家賃の低廉化に係る事業費は、公的賃貸住宅家賃低廉化事業対象要綱(平成18年国住備第126号)等に基づき、次のとおり算定することとなっている。

ア 公営住宅の団地等ごとに、次のとおり、公営住宅法施行令(昭和26年政令第240号)等の規定に基づき算定した近傍同種の住宅の家賃の額(以下「政令家賃」という。)等を用いるなどして、対象となる額(以下「対象額」という。)をそれぞれ算定する。

対象額

イ アで算定した対象額を合計した額から、国土交通省が地方公共団体ごとに通知する率等により当該地方公共団体が算定した額(以下「控除額」という。)を控除する。

そして、政令家賃の算定に用いる公課については、「公営住宅法の一部を改正する法律等の運用について」(平成8年建設省住総発第135号。以下「運用通知」という。)等によれば、近傍同種の住宅に課される固定資産税及び都市計画税の合計額とされており、各地方公共団体において実際に条例で規定されている税率等により算定した税額に相当する額とすることとされている。また、近傍同種の住宅が税制上の特例の対象となる場合には、特例を適用した後の税額に相当する額とすることとされている。税制上の特例としては、地方税法(昭和25年法律第226号)附則第15条の6における新築住宅に対する固定資産税の減額等があり、新築住宅のうち中高層耐火建築物に対して課される建物の固定資産税については、住宅の管理開始時から5年は2分の1に相当する額を減額することなどとなっている。

さらに、土地部分の複成価格については、運用通知等によれば、次のとおり、1㎡当たりの固定資産税評価額相当額を戸当たり敷地面積に乗じて算定することとされている。そして、戸当たり敷地面積は戸当たり床面積を容積率で除して算定すること、容積率は公営住宅の総床面積を総敷地面積で除して算定することとされている。また、公営住宅法(昭和26年法律第193号)等に共同施設として規定されている駐車場等の施設のうち、家賃とは別に料金を徴収する施設等については、その敷地に相当する部分を総敷地面積に含めないこととされている。

土地部分の複成価格

しかし、3市町は、次のとおり事業費を算定していた。

柴田町は、公課を算定する際に、固定資産税について、税制上の特例を適用して5年は2分の1に相当する額を減額すべきであったのに、誤って減額する期間を3年としていた。また、土地部分の複成価格を算定する際に、家賃とは別に駐車料金を徴収している駐車場の敷地に相当する部分の面積を総敷地面積に含めるなどしていた。

宍粟市は、公課を算定する際に、条例の廃止に伴い都市計画税が課されないことになっていたのに、廃止前の条例に基づく都市計画税を加えていた。また、固定資産税について、税制上の特例を適用して2分の1に相当する額を減額すべきであったのに、誤ってこれを減額していないなどしていた。

壱岐市は、対象額を合計した額から控除額を控除すべきであったのに、誤って控除していないなどしていた。

これらのことから、3市町においていずれも事業費が過大に算定されていた。

したがって、適正な事業費を算定すると、計614,158,000円となることから、3市町が算定していた事業費717,249,000円との差額103,091,000円が過大となっていて、これに係る交付金相当額48,593,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、柴田町及び宍粟市において政令家賃の算定についての理解が十分でなかったこと、壱岐市において事業費の算定に当たり、対象額を合計した額から控除額を控除することについての理解が十分でなかったこと、3県において実績報告書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。