(1件 不当と認める国庫補助金 90,864,930円)
部局等
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補助事業者等
(事業主体) |
補助事業等
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年度
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事業費
国庫補助対象事業費
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左に対する国庫補助金交付額
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不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
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不当と認める国庫補助金相当額
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(235) |
国土交通本省
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日本エアコミューター株式会社
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地域公共交通維持・活性化推進
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29 | 3,271,433 (3,271,433) |
1,472,145 | 201,922 (201,922) |
90,864 |
日本エアコミューター株式会社は、離島における住民の福祉の向上等のために、航空機1機(以下「本件航空機」という。)及び予備部品等を、3,271,433,600円(補助対象事業費同額。国庫補助金交付額1,472,145,000円)で購入している。本件航空機が就航する航空路線は、補助金の交付がなかった場合、事業が完了する平成29年度以降の3年間の各事業年度において経常損失が生ずることが見込まれる離島に係る航空路線であることなどが条件となっている(以下、当該条件に該当する航空路線を「補助対象路線」という。)。
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)第22条の規定等によれば、補助事業者は、当該補助事業を所掌する各省各庁の長の承認を受けないで、補助事業により取得した財産を補助金の交付の目的に反して使用するなどしてはならないこととされている。
一方、国土交通省は、「離島航空路線に係る機体補助対象航空機の目的外使用に関する審査要領」(平成15年国空事第473号。以下「審査要領」という。)において、補助事業者が行うことができる補助対象路線以外の路線における補助対象航空機の使用(以下「目的外使用」という。)に関する基準を次のとおり定めている。
① 補助事業者が、補助対象路線の運航の前後の時間帯において目的外使用する場合、その他目的外使用を実施させることが適当と認められる場合
② 補助事業者の保有する補助対象航空機以外の機材における予定外の機体整備、気象事由等により補助対象路線以外の路線に遅延等が生ずるおそれが認められる場合に一時的に運航する場合(以下「機材繰り運航」という。)
そして、審査要領によれば、国土交通大臣(以下「大臣」という。)は、補助事業者から目的外使用に係る申請があった場合には、目的外使用に供される運航時間の合計が、月間において補助対象路線の運航時間の合計を上回らないことなどの要件を満たす場合に限り、これを認めることとされている。ただし、②の機材繰り運航の実施により目的外使用に供される運航時間の合計が、月間において補助対象路線の運航時間の合計を上回ることとなる場合には、その上回った運航時間に相当する国庫補助金相当額を国に納付することを条件に目的外使用を承認することができることとされている。
同社は、本件航空機について、29年10月から令和5年6月までの間(注1)、補助対象路線である12路線のほかに、補助対象路線以外の11路線で運航していた。
しかし、この11路線のうち、機材繰り運航の目的外使用に係る大臣の承認を受けて運航していた路線は4路線(以下「承認4路線(注2)」という。)のみであり、他の7路線(以下「未承認7路線(注3)」という。)については、大臣の承認を受けずに運航していた。そして、その運航時間は計1,306時間8分(補助対象事業費相当額計191,425,371円、これに係る国庫補助金相当額計86,141,395円)となっていた。
また、平成30年7月等(注4)の各月については、未承認7路線のうち4路線(以下「未承認4路線(注5)」という。)及び承認4路線の計8路線において機材繰り運航を実施しており、これにより目的外使用に供される運航時間の合計が、月間において、補助対象路線の運航時間の合計を上回っていた。
しかし、同社は、これらの上回っていた運航時間計130時間39分(補助対象事業費相当額計15,510,479円)に相当する国庫補助金相当額計6,979,712円を国に納付していなかった。
したがって、未承認7路線の運航時間に係る補助対象事業費相当額191,425,371円及び前記の8路線における機材繰り運航の実施により目的外使用に供される運航時間の合計が補助対象路線の運航時間を上回った時間に相当する補助対象事業費相当額15,510,479円の合計から未承認4路線の運航時間に係る補助対象事業費相当額の重複を除いた額計201,922,125円は目的外使用に係る手続が適正でなく、これに係る国庫補助金相当額90,864,930円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同社において本件航空機の目的外使用に係る手続を適正に行うことについての理解が十分でなかったこと、国土交通省において目的外使用に係る手続を適正に行うことについての同社に対する指導が十分でなかったことなどによるものと認められる。