(1件 不当と認める国庫補助金 56,350,168円)
部局等
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補助事業者等
(事業主体) |
補助事業等
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年度
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事業費
国庫補助対象事業費
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左に対する国庫補助金等交付額
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不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
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不当と認める国庫補助金等相当額
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(236) |
青森県
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青森県
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防災・安全交付金
(その他総合的な治水) |
平成30~令和3 | 1,439,085 (1,439,085) |
822,928 | 56,350 (56,350) |
56,350 |
青森県は、砂防法(明治30年法律第29号)に規定する砂防工事に関する事業として、砂防えん堤を整備等する4事業(以下「本件4事業」という。)を実施している。
後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律(昭和36年法律第112号。以下「負担特例法」という。)によれば、財政力指数(注1)が0.46に満たない都道府県(以下「適用団体」という。)が、国の補助金等の交付を受けて、負担特例法に定める事業のうち「後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律施行令」(昭和36年政令第258号。以下「政令」という。)で定める事業(以下「開発指定事業」という。)を実施する場合には、開発指定事業に係る経費に対する通常の国の負担割合(以下「通常国費率」という。)が引き上げられることなどとされている(以下、通常国費率が引き上げられる割合を「引上率」といい、通常国費率が引き上げられることに伴う国の負担の増加額を「国費率差額」という。)。そして、政令によれば、開発指定事業とは、砂防法に規定する砂防工事に関する事業については、河川法(昭和39年法律第167号)に規定する一級河川及び二級河川の水系(注2)に属する河川(以下「一級水系等河川」という。)の流域(注2)におけるものとされている。
また、社会資本整備総合交付金交付申請等要領(平成23年国官会第2379号国土交通事務次官通知)等によれば、国費率差額の交付申請は、通常国費率による交付金の交付申請の翌年度に別途行うこととされている。国費率差額の申請額は、通常国費率を超える部分の額であり、既に交付した交付金の精算額(以下「交付金精算額」という。)に総務大臣から通知される引上率を乗じて得た額から、交付金精算額を減じた額に相当する額とされている。
同県は、平成30、令和元、2各年度において適用団体に該当していた。そして、同県は、本件4事業において実施した砂防工事等159契約に係る全てが開発指定事業に該当するとして、本件4事業に係る通常国費率による各年度の交付金精算額計719,542,650円に当該年度の引上率(1.14又は1.15)を乗じて得た額から交付金精算額を減じた額計103,385,971円について、国費率差額として交付申請を行い、同額の交付を受けていた。
しかし、水系等を確認することができる河川流域図によれば、本件4事業における砂防工事等159契約のうち89契約の実施箇所は一級水系等河川の流域外にあることから、当該89契約に係る分は開発指定事業に該当しないものであった。
したがって、本件4事業における砂防工事等89契約は国費率差額の交付の対象とは認められず、これらに係る交付金計56,350,168円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、国費率差額の交付申請に当たり、本件4事業で実施した砂防工事等が開発指定事業の要件に該当するかの確認が十分でなかったことなどによると認められる。