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  • 令和5年度|
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  • (1) 補助の対象とならないなどのもの

循環型社会形成推進交付金事業において、交付対象事業費に対象とならない設備等の整備に要した費用を含めていたこと、また、現場管理費等の算定が適切でなかったことから、交付金が過大に交付されていたもの[2県](240)―(242)


(3件 不当と認める国庫補助金 110,214,000円)

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(240)
島根県
出雲市
循環型社会形成推進交付金
平成30~令和3
18,129,311
(15,227,141)
5,905,038 255,483
(255,483)
85,122
(241)
邑智郡総合事務組合
元~3 2,018,228
(1,578,083)
526,027 63,784
(63,784)
21,261
(242)
広島県
広島市
平成24~令和5
15,455,160
(11,346,124)
3,782,037 11,506
(11,506)
3,831
(240)―(242)の計 35,602,699
(28,151,348)
10,213,102 330,773
(330,773)
110,214

2県の3事業主体は、循環型社会形成の推進に必要な廃棄物処理施設の整備を実施している。このうち、出雲市はエネルギー回収型廃棄物処理施設の整備を実施しており、2事業主体(邑智郡総合事務組合及び広島市)は最終処分場の整備を実施している。

循環型社会形成推進交付金交付取扱要領(平成17年4月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長通知。以下「取扱要領」という。)によれば、エネルギー回収型廃棄物処理施設及び最終処分場を整備する事業において交付金の交付対象となるのは、廃棄物の処理に直接必要な各種の設備のほか、施設設置に必要な最小限度の土地造成等とされている。このうち、エネルギー回収型廃棄物処理施設を整備する事業においては、緑地帯、構内道路、管理棟等に係る土地造成は交付の対象とされておらず、また、最終処分場を整備する事業においては、構内道路、洗車設備等は、交付の対象とされていない。

また、交付対象事業費の範囲は、交付対象設備等に係る本工事費、付帯工事費等から構成される工事費、事務費等とされており、このうちの本工事費は、材料費、労務費及び直接経費から構成される直接工事費に共通仮設費及び現場管理費から構成される間接工事費を加えた工事原価に、一般管理費を加えて算定することとされている(参照)。

図 交付対象事業費の構成

交付対象事業費の構成

  • (注) 本図は、取扱要領等を基に本院が作成した。

このうち現場管理費は、直接工事費及び共通仮設費の合計額である純工事費に取扱要領に定められた所定の率を乗じて得た額の範囲内とすることとされている。その際、コンクリート製の側溝等のように、工場において生産されて完成された製品として設置することにより効用を発揮するものの調達額(以下「特殊製品費」という。)が直接工事費に含まれている場合には、特殊製品費の2分の1に相当する額を純工事費から減額することとされている。

しかし、2県の3事業主体が実施した本件交付金事業の交付対象事業費の算定に当たり、出雲市は交付の対象とならない緑地帯、構内道路及び管理棟に係る土地造成に要した費用を交付対象事業費に含めており、2事業主体(邑智郡総合事務組合及び広島市)は交付の対象とならない構内道路、洗車設備等の整備に要した費用を交付対象事業費に含めていた。また、2事業主体(出雲市及び邑智郡総合事務組合)は、本工事費のうち現場管理費について、純工事費から特殊製品費の2分の1に相当する額を減額することなく算出していた。さらに、出雲市は、取扱要領に定められた所定の率より高い予定価格の積算の際に適用した率を用いて現場管理費を算出するなどしていた。

したがって、3事業主体が実施した交付金事業において、緑地帯、構内道路及び管理棟に係る土地造成に要した費用や構内道路、洗車設備等の整備に要した費用を交付対象事業費から除くとともに、取扱要領に基づいて現場管理費を算出するなどして適正な交付対象事業費を算定すると計27,820,575,000円となる。このため、本件交付対象事業費計28,151,348,000円は、これに比べて330,773,000円過大となっており、これに係る交付金相当額計110,214,000円が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、3事業主体において交付対象事業費の算定についての理解が十分でなかったこと、2県において本件交付金事業の実績報告書の審査及び事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

事例

出雲市は、循環型社会形成推進交付金事業として、出雲市古志町地内において、エネルギー回収型廃棄物処理施設を整備する工事を事業費18,129,311,255円(交付対象事業費15,227,141,000円、交付金交付額5,905,038,000円)で実施していた。

しかし、同市は、本件交付対象事業費の算定に当たり、取扱要領において交付の対象とされていない緑地帯、構内道路及び管理棟に係る土地造成に要した費用140,229,344円を交付対象事業費に含めていた。また、同市は、本工事費のうち現場管理費について、純工事費から特殊製品費(コンクリート製の側溝等の調達額)の2分の1に相当する額計91,337,248円を減額することなく算出していた。さらに、取扱要領に定められた所定の率(7.5%等)より高い予定価格の積算の際に適用した「国土交通省土木工事標準積算基準書」(国土交通省大臣官房技術調査課監修)等により求めた率(23.96%等)を用いて、現場管理費を算出するなどしていた。

したがって、緑地帯、構内道路及び管理棟に係る土地造成に要した費用を交付対象事業費から除くとともに、取扱要領に基づいて現場管理費を算出するなどして適正な交付対象事業費を算定すると14,971,658,000円となる。このため、本件交付対象事業費15,227,141,000円は、これに比べて255,483,000円過大となっており、これに係る交付金相当額85,122,000円が過大に交付されていた。