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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書
  • 令和6年5月

マイナンバー制度における地方公共団体による情報照会の実施状況について


2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

地方公共団体によるマイナンバー情報照会の実施状況については、地方公共団体においてマイナンバー情報照会を実施することのできる事務手続が多数運用されている中で、実施状況に係る国の調査が一部の事務手続を対象としたものとなっていて、その他の事務手続に係る実施状況は明らかにされていない。また、会計検査院の検査において、生活保護業務に係るマイナンバー情報照会が全く実施されていなかった事態が見受けられるなどしている。

そこで、会計検査院は、効率性、有効性等の観点から、地方公共団体によるマイナンバー情報照会の実施状況について、次の点に着眼するなどして検査した。

ア 地方公共団体によるマイナンバー情報照会の実績はどのようになっているか。

イ 情報連携事務の発生状況やこれを踏まえたマイナンバー情報照会の実施状況は、事務手続ごとにどのようになっているか。マイナンバー情報照会を実施している地方公共団体において実施の効果をどのように認識しているか、また、マイナンバー情報照会を実施していないなどの地方公共団体においてその要因はどのようなものか。

(2) 検査の対象及び方法

会計検査院は、平成26年度から令和4年度までの9年間に整備及び運用された情報提供NWS(支出済歳出額749億余円)並びに地方公共団体において整備費補助金等の交付を受けて整備等された情報システム(国庫補助金交付額1400億余円)を対象として検査した。

検査に当たっては、情報連携の試行運用が開始された平成29年7月から令和4年度までの地方公共団体によるマイナンバー情報照会の実績及び451地方公共団体(11県(注9)、11県の全市町村(435市町村)、1一部事務組合(注10)及び4広域連合(注11))における4年度のマイナンバー情報照会の実施状況について、内閣府本府、こども家庭庁、デジタル庁、総務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省、11県、11県の159市町村、1一部事務組合及び3広域連合において、事務手続ごとの情報連携事務の発生状況やマイナンバー情報照会の照会件数、マイナンバー情報照会の実施の効果に関する認識、マイナンバー情報照会を実施しなかった理由等を聴取し、また、日本年金機構及び社会保険診療報酬支払基金において、マイナンバー情報照会に対する特定個人情報の提供状況を聴取するなどして、会計実地検査を行った。また、上記の451地方公共団体から調書の提出を受けてその内容を分析するなどして検査した。

(注9)
11県  宮城、群馬、埼玉、神奈川、新潟、愛知、兵庫、広島、愛媛、福岡、沖縄各県
(注10)
1一部事務組合  大里広域市町村圏組合
(注11)
4広域連合  知多北部、東三河、福岡県介護保険、沖縄県介護保険各広域連合