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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書
  • 令和6年5月

マイナンバー制度における地方公共団体による情報照会の実施状況について


前文

 「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」(令和2年12月閣議決定)において、デジタル社会の形成に当たっては、行政の簡素化、効率化及び透明性の向上を図ること、また、行政のデジタル化に重要な役割を果たすマイナンバー関連制度について、国民にとっての使い勝手の向上及び同制度の活用を図ることなどが示されている。マイナンバー制度は、国民の利便性の向上と行政の効率化を併せて進め、より公平・公正な社会を実現するためのデジタル社会における社会基盤であり、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和5年6月閣議決定)において、マイナンバーの利用及び情報連携の推進等に係る施策が掲げられている。

国は、マイナンバー制度における情報連携の基盤となる情報提供ネットワークシステムを整備して運用するとともに、情報連携に必要となる地方公共団体における情報システムの整備等に対して国庫補助金を交付して、地方公共団体が他の機関の保有する特定個人情報の提供を受けることができるよう、情報照会の実施環境の整備を推進している。

そして、地方公共団体が上記の情報照会を実施することのできる事務手続は多数運用されている。国は、その実施状況等を調査しているものの、調査の対象が一部の事務手続となっていて、その他の事務手続に係る実施状況は明らかにされていない。また、会計検査院の検査において、生活保護業務に係る上記の情報照会が全く実施されていなかった事態が見受けられるなどしている。

さらに、新型コロナウイルス感染症対策を実施する過程において、社会における抜本的なデジタル化の必要性が顕在化したことを受けて、マイナンバーの利用範囲の拡大や、マイナンバーの利用及び情報連携に係る規定の見直しなどを内容とする「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和5年法律第48号)が令和5年6月に公布された。

本報告書は、以上のような状況を踏まえて、マイナンバー制度における地方公共団体による情報照会の実施状況について検査し、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。

令和6年5月

会計検査院


目次

1 検査の背景

(1) マイナンバー制度の概要等

ア マイナンバー制度の概要
イ マイナンバー法における基本理念等
ウ デジタル社会の実現に向けたマイナンバー制度に関する取組等
エ マイナンバー法の改正

(2) マイナンバー情報照会等の概要

ア 情報連携及びマイナンバー情報照会の概要
イ マイナンバー情報照会が実施される事務手続の概要
ウ マイナンバー制度関連システムの概要
エ マイナンバー制度関連システムの整備等の概要

(3) マイナンバー情報照会の実施状況に係る国の調査の概要

(4) 情報連携の正確性確保のための取組

ア マイナンバーの紐付け誤りへの対応
イ 総点検の結果及び再発防止対策の概要

(5) これまでの検査の実施状況

2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

(2) 検査の対象及び方法

3 検査の状況

(1) マイナンバー情報照会の実績

ア 情報連携の運用開始以降のマイナンバー情報照会の照会件数の状況
イ 社会保障、税及び災害対策の各分野の事務手続に係るマイナンバー情報照会の照会件数等の状況

(2) 個別の事務手続に係るマイナンバー情報照会の実施状況

ア マイナンバー情報照会の利用実績を踏まえた事務手続の選定及び分析の方法
イ 地方公共団体の半数以上が利用していた事務手続に係るマイナンバー情報照会の実施状況
ウ 地方公共団体の過半が利用していなかった事務手続に係るマイナンバー情報照会の実施状況

4 検査の状況に対する所見

(1) 検査の状況の主な内容

(2) 所見

別図表

  • 本文及び図表中の数値は、原則として、表示単位未満を切り捨てているため、数値を集計しても計が一致しないものがある。
  • 図表中の「0」は単位未満あり、「-」は皆無を示す。
  • 図表は、本報告書の取りまとめに当たって会計検査院が作成したものである。

事例一覧

[「特定医療費の支給認定」に関する事務手続(管理番号98-4)について、患者等から課税証明書等の提出を受けることにより地方税関係情報を確認していて、マイナンバー情報照会を実施していなかったもの]

<事例1>

[「精神障害者保健福祉手帳の更新(日本年金機構への照会)」に関する事務手続(管理番号14-53)について、日本年金機構に対して文書照会を行うことにより年金給付関係情報を確認していて、マイナンバー情報照会を実施していなかったもの]

<事例2>

[「個人住民税の配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除等の適用」に関する事務手続(管理番号16-12)について、他の市町村に対して文書照会を行うことにより地方税関係情報を確認していて、マイナンバー情報照会を実施していなかったもの]

<事例3>