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  • 一般会計 歳入

特殊物件(放出物件を含む。)の処分に関し措置当を得ないもの


(49)−(84) 特殊物件(放出物件を含む。)の処分に関し措置当を得ないもの

 (第3部雑収入 第2款特別雑収入 第2項特殊物件収入)

(49)  内務省で、終戦直後全国農業会に売り払つた放出物件たる松根原油(取込原油を含む。)20,748竏の代金として昭和22年9月に838,463円を収納したものがある。
 右は、1竏当り190円と評価し、引取経費149円59銭を差し引いた40円41銭で代金を算定したものであるが、放出物件の処分代金は原則として処分当時の公定価格を基準とすべきものであつて、本件の場合は価格を引き下げなければならない特別の事情があつたとは認められないから、終戦当時の公定価格1竏当り2,007円50銭(取込原油は1,578円50銭)から引取経費を差し引いた価格て徴収決定しなければならないものである。

(50)  青森県で、(1)放出物件たる自動車等197台(価格は未査定の分52台を除き784,900円)を公共団体たる県及び仙台鉄道局青森管理部外11箇所に無償で譲渡したものがあるが、これは有償とすべきものであり、(2)南部貨物自動車株式会社外19名に譲渡した放出物件たる貨物自動車等41台については旧軍において144,702円を徴収したが、右は県の査定額に比べ、218,498円低価であるのに、これを追徴していなかつたりで、昭和23年3月本院会計実地検査の際注意したところ、7月いずれも是正する旨の回答があつたが、まだ国の歳入に納付されていない。

(51)  宮城県で、昭和20年12月から23年5月までの間に、公共団体たる県において放出物件の売払代金として9,677,470円を受け入れたが、そのうち直接費及び間接費等1,808,456円を差し引いた7,869,014円はこれを国の歳入に納付しなければならないのに、うち5,953,752円を納付したにとどまり、残額1,915,262円はそのまま保管していたので、23年5月本院会計実地検査の際注意したところ、11月までに1,320,000円を納付したが、残額595,262円はまだ納付されていない。

(52)  宮城県で、昭和20年9月から21年9月までの間に、特殊物件たる事務用机その他雑品類及び放出物件たる乗用自動車その他雑品類、その評価額762,523円を公共団体たる県及び市町村、学校等に無償で譲渡したものがあるが、有償とすべきものと認め、23年5月本院会計実地検査の際注意したところ、11月までにようやく12,393円を国の歳入に納付した。

(53)  福島県で、昭和21年3月から11月までの間に、放出物件たる自動車類19台、その価額85,591円及び特殊物件たる各種自動車、スチーム伝圧機等46台、その価額98,768円計184,359円を公共団体たる県外13箇所に無価譲渡したものがあるが、有償とすべきものと認め、23年5月本院会計実地検査の際注意したところ、是正する旨の回答があつた。

(54)  群馬県で、昭和20年9月から11月までの間に、群馬県製靴統制組合に放出物件たる皮革類等、その価額1,031,267円を売り払つたものがあるが、うち130,087円を21年10月までに収納しただけで、残額901,180円は、同組合において21年1月末までに小売業者からその代金を回収済であつたのに、県においては9月及び12月にようやく徴収決定し、23年8月本院会計実地検査当時なお収納未済となつている。

(55)  千葉県で、昭和20年9月から21年10月までの間に、特殊物件たる各種自動車、その価額219,500円を県内警察署及び学校等51箇所に無償譲渡したものがあるが、有償とすべきものと認め、23年3月本院会計実地検査の際注意したところ、10月までに徴収決定を了し、うち21,500円を国の歳入に納付した。

(56)  愛知県で、終戦時から昭和22年6月までの間に、特殊物件(放出物件を含む。)たる被服類等を愛知県繊維製品株式会社に10,596,076円で売り渡したものがあるが、同会社はこれを他に売却して18,173,556円を収入したのに、県はわずかに2,136,597円を収納したに過ぎず、残額8,459,479円については徴収手続を著しく遅延し、その間会社は閉鎖機関に指定されたため収納に至つていない。なお、会社の売却代金と前記国の売渡代金との差額7,577,479円は、会社の売却代金の41%に相当し、この割合は県が価格査定委員会で決定した取価手数料が平均20%程度であるのに比較すると、著しく高率に過ぎ、結局売渡価格が低価に過ぎたこととなる。これに対し県は同会社の引取及び配給に要した手数料4,237,322円を控除し、残額3,340,157円を返納させることとして債権の申立を行つている。

(57)  滋賀県で、終戦後放出物件たる自動車用揮発油(200立入)1,525本、モビール油(200立入)363本、グリース(16瓩入)1,547本外2品目、その価額会計161,222円を、滋賀県貨物自動車協会外6団体に無償で譲渡していたので、有償とすべきものと認め、昭和23年2月本院会計実地検査の際注意したところ、10月までにその代金の全額につき徴収手続を了した。

(58)  大阪府で、昭和21年4月及び5月に特殊物件たる酒石酸石灰外3品目を28,041円で日本有機酸統制組合大阪支部に売り払つているが、同支部はこれを他に売却して1,566,262円を収入したのに、同支部が戦災等によつて受けた損失等を考慮して、そのうち約98%に相当する1,538,220円を利得させ、わずかに前記金額を売払代金として歳入に納付させたものである。

(59)  奈良県で、昭和21年5月から22年2月までの間に、淹本組に特殊物件たるボールト、ナツト等建築用金具類、その価額315,480円を売り払つているが、滝本組は右物品の大部分を処分済であるのに、県はこれに対し代金の徴収を著しく遅延し、23年7月本院会計実地検査当時においてもまだ収納していない。

(60)  山口県で、昭和20年8月から22年11月までの間に、放出物件たる襦袢、毛布等、その価額98,657円を公共団体たる県外8箇所に、特殊物件たるフアイバーグリース等、その価額15,307円を石油統制株式会社下関出張所外41箇所に、いずれも無償で譲渡していたので、有償とすべきものと認め、23年3月本院会計実地検査の際注意したところ、是正する旨の回答があつた。

(61)  愛媛県で、放出物件の処分代金の徴収に至らないものが705,000円ある。右は松山市が有償処分した夏衣4,399着外46品目の代金892,286円から諸経費37,286日及び昭和21年8月国の歳入に納付させた150,000円を控除した残額であつて、同市はこれを復興費及び住宅建築費に使用したものであるが、これは国の歳入に納付させるべきであるのに、同市の財政上徴収困難であるとして放置しているものである。

(62)  熊本県で、昭和21年3月及び4月県経済防犯課外6箇所に売却した特殊物件たる石油類の代金640,545円は、23年7月本院会計実地検査の際なお収納に至らなかつたものである。
 右は、県が需要者に直接売却したものであるのに、その代金を直接徴収することなく、ことさらに石油配給株式会社を通じて納付させることとしたものであるが、同会社は22年3月に442,623円、5月に261,114円を受領していたのに、これに対しすみやかに会社の手数料を差し引いた前記代金の徴収手続をとることなく、10月に至りようやく徴収決定したが、同会社は6月既に閉鎖機関に指定されていたため、収納ができなくなつたものである。

(63) 宮崎県で、昭和20年11月から21年3月までの間に、特殊物件たる食料品及び被服類、その価額1,363,765円を県下各市町村を通じて配給させたが、その売払代金は23年10月までに882,853円を収納したに過ぎない。

 (昭和23年度)(第3部雑収入 第3款特殊物件収入 第1項特殊物件収入)

(64)  高知県で、放出物件たる松根乾溜釜、生松脂等、その価額417,874円を高知県農業会外44箇所に売り払い、その代金を昭和22年4月から23年7月までの間に受領したが、これを県渉外課外2課において保管していたので、23年8月本院会計実地検査の際注意したところ、国の歳入に納付する旨回答があつた。

(以下是正済の分)

 (第3部雑収入 第2款特別雑収入 第2項特殊物件収入)

(65)  福島県で、放出物件売払代金のうち845,226円はこれを国の歳入に納付することなく別途に保管していたので、昭和23年5月本院会計実地検査の際注意したところ、取りあえず714,939円を7月国の歳入に納付した。

(66)  福島県で、公共団体たる県に売り払つた放出物件の夏襦袢、その他の裁断生地、その代価513,045円のうち徴収を遅延したものが284,045円ある。右裁断生地は、県において福島県授産協会にその加工及び配給を委託し、同協会をして配給先から逐次代金を回収の上、昭和21年3月までに229,000円を旧陸軍に納付させたが、残額284,045円については、23年2月同協会解散当時その大部分を回収していたのに、これを福島県社会事業協会に引き継がせ、5月本院会計実地検査当時まだ徴収していなかつたので注意したところ、8月その全額を国の歳入に納付した。

(67)  埼玉県で、昭和20年11月特殊物件たる毛布外17品目を県下の戦災者及び引揚者用として、埼玉県繊維製品株式会社を通じ有償で配給したが、同会社はその売払代金4,309,183円を21年2月までに全額回収していたにかかわらず、県は23年2月本院会計実地検査当時まだ徴収決定もしていない状況であつたので注意したところ、右代金から手数料2割及び同会社が別に誤納していた金額を差し引き、1,007,825円を23年3月国の歳入に納付した。

(68)  埼玉県で、終戦当時軍が関東配電株式会社浦和支店へ放出した作業衣袴6,100着の代価207,400円を昭和22年3月収入し、これをそのまま県費の歳入としていたので、23年2月本院会計実地検査の際注意したところ、4月国の歳入に納付した。

(69)  東京都で、昭和23年1月までに公共団体たる都において受け入れた放出物件の売払代金10,077,699円のうち、国庫に収納したものは22年6月第2封鎖預金593,764円に過ぎず、残余の9,483,934円は収納未済となつていたので、23年1月本院会計実地検査の際注意したところ、直接費及び間接費等2,180,687円を除いた7,303,247円を9月までに国の歳入に納付した。

(70)  東京都で、昭和21年6月特殊物件たる羊毛糸等、その価額1,355,358円を大和毛織株式会社に売り払つたが、代金の徴収を著しく遅延し、23年1月本院会計実地検査当時においてもまだ徴収決定をしていなかつたので注意したところ、6月その全額を国の歳入に納付させた。

(71)  新潟県で、放出物件の売払代金を国の歳入に納付することなく、直接費に充てる資金として県経済調整課長の名義で銀行に預金していたものが、昭和23年5月現在で4,548,178円あつたが、同県においては既に大部分の放出物件の処理を済ませていたのであるから、右は直接費として留保するにはその額が多きに過ぎるものと認め、6月本院会計実地検査の際注意したところ、取りあえず3,000,000円を9月国の歳入に納付した。

(72)  新潟県で、旧海軍が戦時中合資会社近江屋製作所に保管させていた木材3,100石(製材換算)を昭和20年9月引継を受けたものがある。しかるに県は、これを放出物件として取り扱うことなく、22年9月頃から、うち904石その価額215,648円を同会社に、2,195石その価額455,701円を新潟県家具商工業協同組合外4箇所に交付し、その代金を国の歳入に納付していなかつたので、23年6月本院会計実地検査の際注意したところ、7月右代金相当額671,350円を徴収決定し、10月までにそのうち373,504円を国の歳入に納付させた。

(73)  山梨県で、昭和22年2月から23年5月までの間に、放出物件たる自動車類の売払代金として848,381円を受け入れ、そのうち496,770円は県費に繰り入れて使用し、351,611円はこれをそのまま保管していたので、23年5月本院会計実地検査の際注意したところ、10月までにその全額を国の歳入に納付した。
 なお、同県で21年1月から7月までの間に、特殊物件たる薄葉紙等8,237瓩、その価額75,609円を公共団体たる県に無償で譲渡したものがあつたが、本院の注意により23年9月右価額相当額を国の歳入に納付した。

(74)  長野県で、昭和21年2月から23年3月までの間に、公共団体たる県において受け入れた放出物件売払代金のうち16,248,960円を23年5月本院会計実地検査当時保管していたので注意したところ、その後の受入額66,454円を合わせ計16,315,415円のうちから直接費及び間接費6,205,000円を除いた10,110,415円を8月国の歳入に納付した。

(75)  岐阜県で、昭和21年4月から12月までの間に、特殊物件たる布やすり外159品目、その価額807,209円を岐阜県家庭雑貨配給統制組合に売り払つているが、同組合はその大部分を21年中に配給済であるのに、23年2月本院会計実地検査当時またその代金の徴収決定をしていなかつたので注意したところ、6月その全額を国の歳入に納付させた。

(76)  静岡県で、昭和21年2月及び3月特殊物件たる鋼材等の原材料、その価格1,322,036円を公共団体たる県外23団体に売り払つたものがあるが、県は右代金のうち1,281,451円を23年5月までに受領していたにかかわらず、これを国の歳入に納付することなく、県土木部建築課長名義で預金し、且つ、そのうち123,600円を静岡県計画住宅協力会に貸し付けていたので、7月本院会計実地検査の際注意したところ、右貸付額は直ちにこれを回収し、9月前記1,281,451円を国の歳入に納付した。
 なお右売払代金のうち40,584円は、買受人たる住宅営団が閉鎖機関に指定されたためまだ収納に至つていない。

(77)  三重県で、公共団体たる県が昭和23年7月までに放出物件の売払代金7,696,965円を受け入れたが、そのうち直接費、間接費2,837,879円及び、軍に納付した544,815円を除いた4,314,270円は、すみやかにこれを国の歳入に納付しなければならないのに、うち3,509,848円を納付したに過ぎず、残額804,421円をそのまま保管していたので、23年8月本院会計実地検査の際注意したところ、11月右残額から直接費支払未済額を差し引き、720,196円を国の歳入に納付した。

(78)  奈良県で、特殊物件売払払代金の徴収を遅延したものが左のとおりある。

(1) 昭和21年1月奈良県鉄鋼製品配給統制組合に丸釘外16品目を売り払い、同組合は21年5月から22年6月までの間に、これを2,464,520円で他に売却してその代金を回収済であるから、引取経費等517,761円を控除した、1,946,759円はすみやかにこれを徴収すべきであるのに、22年3月に430、899円を収納したにとどまり、残額1,515,860円については23年7月本院会計実地検査の際の注意により8月ようやくこれを収納した。

(2) 21年4月奈良県文具学用品配給株式会社に封筒、便箋等を売り払い、同会社はこれを3,733,811円で他に売却し、代金の大部分を回収済であるのに、22年3月に,1,246,683円を収納したにとどまり、残額については本院会計実地検査の際の注意により、23年8月1,988,830円を収納しただけで、引取経費などについてはまだ精算を結了していない。

(79)  和歌山県で、終戦時に放出物件たる医薬品、医療機械等、その価額222,594円を紀南病院に無償譲渡したものがあるが、有償とすべきものと認め、昭和22年9月本院会計実地検査の際注意したところ、23年5月右価額相当額から引取経費39,827円を差し引き、残額182,767円を国の歳入に納付した。

(80)  島根県で、昭和22年5月から23年3月までの間に売り払つた放出物件たる石油類等の代金819,774円を公共団体たる県が受領し、そのうち111,030円を22年9月国の歳入に納付したが、残額708,744円はそのまま県において保管していたので、23年5月本院会計実地検査の際注意したところ、8月その全額を国の歳入に納付した。

(81)  佐賀県で、昭和22年8月から23年3月までの間に収納した放出物件の売払代金612,472円のうち、その処理に要した直接費62,107円を控除した残額550,364円は、これを国の歳入に納付しなければならないのに、県商工課長の名義をもつて預金していたので、23年6月本院会計実地検査の際注意したところ、9月これを国の歳入に納付した。

(82)  佐賀県で、昭和22年10月佐賀県靴商工業協同組合に特殊物件たる編上靴2,368足、その価額251,008円を売り払い、同組合は23年4月までにその処分代金263,500円を受領済であつたのに、6月本院会計実地検査当時なお代金を徴収していなかつたので注意したところ、8月これを国の歳入に納付さた。
 右の外、23年1月佐賀県生活用品株式会壮に羊毛糸12,000ポンドを売り払い、その代金768,240円を徴収していなかつたので注意したところ、7月その全額を国の歳入に納付させた。

(83)  鹿児島県で、昭和22年5月から10月までの間に、鹿児島県靴商工業協同組合に特殊物件たる靴類、その代金977,739円を売り払つているが、23年4月本院会計実地検査当時137,775円を収納していたにとどまり、839,964円は収納に至つていなかつたので注意したところ、11月までにその全額を国の歳入に納付させた。

 (昭和23年度)(第3部雑収入 第3款特殊物件収入 第1項特殊物件収入)

(84)  長崎県で、昭和23年6月までに公共団体たる県において受け入れた放出物件売払代金のうち855,822円を国の歳入に納付せず保管していたので、6月本院会計実地検査の際注意したところ、その後の売払代金6,215円を合わせ計862,038円のうちから直接費所要見込額200,000円を除いて、取りあえず662,038円を7月国の歳入に納付した。