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  • 昭和22年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第4 大蔵省|
  • (終戦処理費関係の分)|
  • 同 歳出

工事費の支払に当り措置当を得ないもの


(209) −(213) 工事費の支払に当り措置当を得ないもの

(第19部終戦処理費 第1款終戦処理費 第1項終戦処理費)

(209)  終戦連絡中央事務局で、昭和22年12月ジヤマ工業株式会社に対し、立川地区連合軍関係の各種自動車修理並びに航空機及び自動車部品の製作請負代金として5,634,980円を支出したものがあるが、そのうち2,145,974円が過払となつている。右は、同局立川出張所において、直営で施行していたものを22年6月調達要求書によつてその後前記会社に請け負わせることに変更し、10月同局でその請負契約を7月にさかのぼり締結して前記代金を支払つたものであるが、7月以降立川出張所は同会社に引き継がれた常備者の給与をはじめ、副資材費等の経費21,804,622円を立替払していたのであるから、右請負代金の支払に当つては当然右立替払の総額を差し引くべきであるのに、単に工員の給与を控除しただけで、契約上当然会社の負担となるべき副資材費、旅費、退職金及び工員災害補償費合計2,145,974円については、これを控除していなかつたものである。なお、本件請負代金は直接稼動した人工の実働1時間当り単価で支払う契約となつているのに、直接工に属さない事務員、守衛等間接経費をもつて支弁すべき人員をも誤つて実働人工に加算したため、この点についても過払を生じている。

(210)  終戦連絡京都事務局で、昭和22年9月及び12月株式会社大林組に対し、岡崎公園美術館周囲道路補修工事外3工事の請負代金1,603,250円の全額を支払つているにかかわらず、同年12月他の工事に対する概算払をする際、その概算払の一部として誤つて本件請負代金1,603,250円の8割に相当する1,282,600円を重複して支払つたものがあつたので注意したところ、23年10月同会社をして誤払相当額を歳入に納付させた。

(211)  秋田県で、昭和21年10月佐藤電気商会に請け負わせた連合軍接収住宅2戸の電気工事代金として1,285,246円を支払つたものがある。右工事費のうち主要資材費及び工費だけについて見ても、第四種電線はその価額205,513円となつているが、当時の戦災復興院の標準価格によれば62,630円でたり、又工費は4,700人分376,000円となつているが、戦災復興院の標準歩掛によれば1,000人分80,000円以内でたりるものであつて、その他の部分も同様はなはだしく高価と認められ、結局前記請負代金は著しく高価に失するものである。

(212)  茨城県で、昭和22年10月完成した水戸東飛行場滑走路拡張工事費の確定金額として株式会社鹿島組に対し、22年12月及び23年4月1,240,945円を支つているが、23年6月本院会計実地検査の際、支払金額の内訳について調査したところ、連合軍から支給された滑走路用敷設鉄板700屯の取扱経費を査定するに当つて、取扱経費計算の基礎となる鉄板の単価及び取扱経費率を過大に評価していた外、自動車輸送費にも誤算があつたので注意したところ、それぞれ補正の上、11月支払金額を765,293円と改訂し、前記金額との差額475,651円は、これを国の歳入に納付させることとした。

(213)  愛知県で、連合軍家族住宅新築工事費として昭和22年10月進駐軍家族住宅工事協力会に対し、9,166,000円の概算払をしているものがある。右は、21年8月同協力会に38,765,087円をもつて請け負わせた連合軍家族住宅新築工事費の一部として支払つたものであるが、同工事費のうちには官給材料費20,048,624円を含んでいるので、結局業者に支払うべき代金は差引18,716,463円(精算額17,898,011円)であるのに、本件工事の完成した22年3月までに既に21,815,000円を支払い、更に10月に至り前記9,166,000円を概算払したものである。当局者は、官給材料の交付遅延のため、取りあえず業者に立替させることにしたので、官給材料費を含めた契約金額38,765,087円を基準として概算払をしたというが、業者の実際に立て替えた材料価格は3,211,585円に過ぎなかつたのであるから、前記多額の追加概算払をする必要はなかつたものである。