(第19部終戦処理費 第1款終戦処理費 第1項終戦処理費)
(214)
終戦連絡中央事務局及び内務省調査局で、昭和22年6月及び11月秋田木材株式会社と契約して、連合国財産返還梱包用木材58,500石を購入し、その集荷費及び保管料を合わせ48,585,226円を支払つたものがある。
本件梱包用木材は、当初の主務庁である終戦連絡中央事務局設営部及び内務省調査局で購入管理し、その後外務省特殊財産局の管理に移したものであるが、23年7月までの使用石数はようやく15,458石に過ぎなかつたもので、購入量過大に失するばかりでなく、その後の管埋についても措置当を得ないと認められるものがある。すなわち、その保管をすべて納入者に委託したまま放置していたもので、23年2月本業務が外務省特殊財産局に移管された以後においても何ら適切な措置をとることなく、6月に至つてようやく物品会計官吏の任命を行つている状況であつて、7月本院会計実地検査の際調査したところによると、東京外3箇所の集積地においては製材の大部分を野積のまま放置し、購入石数58,500石のうち使用した15,458石を除き、残高43,042石に対し18,408石に上る腐朽材を生じている。
(第21部賠償施設処理費 第1款賠償施設処理費 第1項賠償施設処理費)
(215)
商工省賠償実施局で、昭和22年7月賠償施設撤去用木材の買入、輸送、集積、保管及び配分等に関し、緊急木材納入組合と締結した代行契約に基き集荷された木材558,608石に対する木材代金その他の経費として、22年8月から23年4月までの間に、同組合に対し463,739,347円を支払つたものがある。 右は、農林省から各都道府県に対し、22年3月末を期限として製材89万石の供出割当をしたが、その後一時に大規模の撤去が行われないような情勢となつたので、同年7月前記組合と50万石の購入契約を締結し、集荷されたものを全国各地の集積所に保管させたのである。しかし、当時の状況下において、賠償施設撤去決定前に所要の木材を手当することはやむを得なかつたとしても、まだ正式の指令も発せられず、梱包規格等も定まつていなかつたのであるから、木材の購入に当つてはこの間の事情を考慮し、ある程度は素材をもつて購入すべきであつたのに、全量を製材品として購入したため、その後決定された規格に対し再製材を要するものを生じ、ことに板材29万余石のごときは、その大部分が使用の見込がなくなり、更に厚材、長大材等につき6万余石を前記組合等と追加購入契約するのやむなき結果となり、しかもその後の撤去指令は旧軍工場の一部機械につき発せられただけであつて、これに使用された木材は15万6千余石で、その他はそのままとなつている状況である。
ことに、納入された製材品は、品質も粗悪なものが多く、又その保管に当つても長期保管に適するような方法がとられなかつたので、各集積所における木材は逐次腐朽し、遂に23年度において、不適格品を合わせ30万余石を約1億3千万円で値引処分するのやむなきに至り、多額の失費をきたしたものである。