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  • 昭和22年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第4 大蔵省|
  • (終戦処理費関係の分)|
  • 国有物件

官給木材の管理当を得ないもの


(235) 官給木材の管理当を得ないもの

 特別調達庁(同庁の業務開始前は戦災復興院又は建設院)では、連合軍家族住宅建設工事用として官給する木材を日本木材株式会社と契約し、昭和21年11月同会社閉鎖後は太平木材株式会社と契約して取扱代行をさせているのであるが、右木材は同庁の指示により、同会社から工事を担当する各庁を通じ、工事請負業者に引き渡すもので、このときをもつて主務庁の物品会計官吏の排出とみなしているが、その整理についてはこれをもつぱら代行者に委ねている状況である。
 しかしてこれを交付した後においては、工事費精算に当り請負人の提出した資料に基き使用数量を調査するにとどまり、各庁から引渡数量の適否を確認すべき資料として受払残の報告を徴していない状況で、本院会計実地検査の結果によれば、交付後における使用実績が判明しなかつたり、残材で返納すべきものが引き継がれていなかつたり、腐朽したものをそのままにしているものが少くない。又保管中のもの及び官給返納材で腐朽等のため売却処分をしていながら、その売払代金の徴収決定も行わず放置してあるものもある。これは主務庁が工事を担当する各庁に対して適確な指示を与えていないためであつて、木材の処理については遺憾なきを期するよう注意したところであるが、なお是正されるに至らず、左のような事例を生じているのは措置当を得ないものである。

(1) 交付後における使用の実績が判明しないもの

 東京都で、22年5月から23年4月までの間に施行した成増地区家族住宅新築及び附属公共施設工事に対し、素材8,275石及び製材323,837石を特別調達庁から引渡を受けているが、完成後5箇月を経過した23年9月現在においてなお実際の使用数量が判明していないばかりでなく、一部転用林があり、その他燃料などに使用されたものがあるのに、これらについても確かな数量が判明していない。

(2) 官給の残材が返納されていないもの

(イ) 兵庫県で、21年8月以降株式会社間組外12会社と逐次契約施行し、22年12月完成した六甲地区家族住宅建設工事用官給木材22,734石は、工事費精算の結果20,164石となり、2,570石の過渡を生じ、うち202石は返納されたが、2,367石は23年11月に至るもなお返納されていない。

(ロ) 特別調達庁横浜支局で、22年10月須藤産業株式会社と契約施行した根岸地区仮設セメント倉庫新築及び現場事務所移築工事用として、同会社に木材1,664石を交付したが、11月工事完成し、23年6月精算を行つた結果1,009石過渡であることが明らかとなつたが、8月本院会計実地検査当時なお返納されていない。

(3) 保管材が腐朽していたのにそのままとなつているもの

 熊本県で、21年11月から22年4月までの間に、戦災復興院から家族住宅工事用として送付を受けた床板5,134坪は、工事実施の計画変更等によつて2,740坪の余剰を生じたが、適切な利用又は保管の方法も講じないで長期にわたり野積にしていたので、うち約1,000坪は品質低下し、その一部は腐朽して使用不可能となつている。

(4) 売払代金の徴収未済のもの

(イ) 宮城県で、多賀城地区住宅建設工事用木材15,331石のうち、計画変更によつて生じた残材3,490石を22年4月工事完成後井上工業株式会社外4会社に1,116,952円で売り払つているが、23年5月本院会計実施検査当時、代金納入の手続もとつていない。

(ロ) 鹿児島県で、23年4月鹿屋地区家族住宅建設工事用の官給残材410石を鹿屋市田崎町帰農組合及び肝属郡垂水町に対し、開拓者及び庶民住宅建設用として売り払つたが、23年5月本院会計実地検査の際まだ代金を徴収していなかつたので注意したところ、88,700円を7月国の歳入に納付した。