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  • 昭和22年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第6 厚生省|
  • 同 歳出

補助金の交付に関し措置当を得ないもの


(274)-(278) 補助金の交付に関し措置当を得ないもの

(第8部社会及労働施設費 第1款救済保護費 第3項災害救助費)

 東京都外4県で、昭和22年度災害救助費に対する国庫補助金を、公共団体たる都及び県に交付するに当り、左表のとおり164,515,143円を相当とするにかかわらず、297,629,935円を交付したため、133,114,791円の補助超過となつたものがある。
 右は、同年7、8、9月の関東、東北地方の水害における都、県の実施した一時避難所の開設、炊出し、生活必需品給与等の応急救助経費の一部を国庫から補助することとし、12月それぞれ左表の金額を補助することに指令されたものであるが、本件は救助用物資の入手が困難であつたこと、罹災者が縁故先に避難して実際救助を要するものが少かつたことなどにより、都、県の支出は予定額に比べ著しく少額にとどまつたものであつて、このような事情は補助金を交付した22年12月から23年2月の頃には察知し得られたと認められるのに、漫然補助指令額の全部を交付し、多額の補助超過を生ぜしめている。
 なお、補助超過額についてはすみやかにこれを回収しなければならないのに、23年11月に至るもそのままとなつている。


庁名 災害救助費 国庫補助金
予定額 支出済額 交付額 補助相当額 補助超過額
(274) 群馬県
59,535,130

16,251,876

48,461,557

11,045,089

37,416,467
(275) 東京都 136,694,098 92,641,486 90,538,513 55,616,788 34,921,724
(276) 栃木県 48,404,747 17,596,136 37,461,087 12,568,697 24,892,389
(277) 岩手県 35,719,878 14,243,228 30,194,290 11,161,634 19,032,655
(278) 埼玉県 127,500,000 87,636,369 90,974,488 74,122,932 16,851,555

407,853,853 228,369,098 297,629,935 164,515,143 133,114,791

(第8部社会及労働施設費 第1款救済保護費 第1項生活保護費)

(279)−(289)  北海道外10県で、昭和23年4月左表のとおり地方公共団体及び社会事業団体等が設置する収容、授産、医療等の各種保護施設に対する補助金として26,225,265円を交付したものがある。
 本件補助金は、各種保護施設の設置者においてその施設を年度内に完成することを条件として、施設費の全額又は2分の1以上を交付するものであるのに、年度内には事業に全然着手しなかつたものに対し、これらの状況を考慮せず23年4月に至つて漫然補助指令の全額を交付したものである。


道県名 設置者 保護施設数 施設費 補助金交付額 施設の施行状況

(279)

神奈川

県外1団体

3

14,468,000

7,968,000

2箇所は23年8月当時50%及び60%、1箇所は8月当時未着手
(280) 北海道 豊平町 1 4,615,000 4,615,000 6月当時未着手
(281) 愛知 県外1団体 2 7,200,000 3,960,000 6月及び8月完成
(282) 佐賀 県外1団体 2 5,660,000 3,660,000 9月当時70%及び90%
(283) 秋田 1 1,511,800 1,209,440 10月完成
(284) 岐阜 岐阜市外1団体 2 1,537,950 1,087,725 5月当時未着手
(285) 福岡 福岡市外1団体 3 2,100,000 1,050,000 2箇所は6月当時30%及び60%、1箇所は6月当時未着手
(286) 富山 中田町外1団体 2 2,426,000 961,100 10月当時50%及び70%
(287) 兵庫 柏原町 1 1,200,000 600,000 8月当時60%
(288) 鹿児島 鹿児島市外1団体 2 1,120,000 560,000 7月及び8月完成
(289) 茨城 1 692,500 554,000 9月当時未着手


20 42,531,250 26,225,265

(第8部社会及労働施設費 第3款社会保険費 第3項国民健康保険補助)

(290)−(293)  東京都外3県で、昭和23年3月から4月までの間に、左表のとおり国民健康保険組合に対し、医療施設費の補助金として3,964,700円を交付したものがある。
 本件補助金は、都及び県に対する補助金予算の示達が遅れたものであるばかりでなく、都及び県は医療施設を年度内に完成することを条件として、その設置者に補助するものであるのに、年度内ほとんど着手さえしていなかつたものに対し、これらの状況を考慮せず漫然補助指令の全額を交付したものである。


都県名 補助金受領者 設置者 施設費 補助金交付額 施設の施行状況

(290)

山形

高畠町国民健康保険組合

高畠町外7箇町村組合

3,737,213

1,195,700

23年7月着手
(291) 福岡 直方市国民健康保険組合 直方市国民健康保険組合 3,370,000 1,123,300 年度内に医療設備費124,150円を使用
(292) 東京 福生町国民健康保険組合 東京都国民健康保険組合連合会 2,760,000 919,900 6月建物医療機械等を買収
(293) 千葉 吉尾村国民健康保険組合 吉尾村国民健康保険組合 2,177,400 725,800 5月着手



12,044,613 3,964,700

(第11部公共事業費 第1款公共事業費 第1項公共事業費)

(294)  静岡県で、児童相談所創設費に対する国庫補助金として昭和23年3月公共団体たる県に600,000円を交付しているが、その予算の示達が遅れ、本件児童相談所は年度内全然工事に着手せず、県は右補助金を加えた県費予算を23年度に繰り越し、7月に至り業者と請負契約を締結し、10月本院会計実地検査当時においても出来高は75%に過ぎないものであつて、22年度に補助金を交付する必要はなかつたのに、その全額を交付したものである。

(295)  宮崎県で、昭和23年3月公共団体たる県に宮崎中央保健所復旧費補助として500,000円を交付したものがある。
 右は、県が年度内に完成すべき同保健所復旧工事の工事費1,020,000円に対して補助するものであるが、その予算の示達が遅れ、県は23年3月株式会社鴻池組に工事を請け負わせ、建築予定地変更等のため、5月工事に着手し、7月完成したものであつて、22年度に補助金を交付する必要はなかつたのに、その全額を交付したものである。

(昭和21年度)(歳出臨時部 第2款民生安定施設費 第2項民生安定施設費)

(296)−(300)  東京都、北海道外3県で、生活保護費補助金として管内地方公共団体に対し199,703,188円を概算交付しているが、その精算状況を見ると、左記のとおり概算払額が過大に失したもの、精算による補助超過額の回収又は補助不足額の交付の遅延しているものがある。
 元来、生活保護費補助金を地方公共団体に概算交付するに当つては、当該地方公共団体における前月分の保護費支出額等の資料に基いて必要の限度を超えないように注意しなければならないばかりでなく、年度経過後においてはすみやかに精算を行い、補助超過額についてはこれを返納させ、補助不足額については追加交付しなければならないのに、本件は多額の概算払をなし又はその精算を遅延したものである。

(296)  新潟県で、概算払額32,983,800円に対し補助超過となつた市町村の超過分合計額は12,748,150円の多額に達しているが、23年6月末現在まだ4,190,010円が回収未済となつている。

(297)  三重県で、概算払額18,500,000円に対し、補助超過分合計額は7,060,936円の多額に達しているが、23年9月末現在まだ361,403円が回収未済となつている。

(298)  青森県で、概算払額16,866,000円に対し補助超過分合計額は5,858,219円の多額に達しているが、23年9月末現在まだ1,465,315円が回収未済となつている。

(299)  北海道で、概算払額36,576,388円に対し補助超過分合計額は5,032,146円となつているが、23年10月末現在まだ3,196,760円が回収未済となつている。

(300)  東京都で、概算払額94,777,000円に対し補助不足となつた都及び市町村の不足分合計額は25,314,780円、補助超過となつた市町村の超過分合計額は4,920,821円となつているが、右補助不足額については23年10月末現在まだ当該都市町村に対し追加交付に至らず、補助超過額については同月末現在まだ766,526円が回収未済となつている。

(301)−(303)  和歌山外2県で、昭和21年12月の南海地方震災罹災者救助のため、補助金として22年3月及び4月に、公共団体たる県に、又は県を通じて市町村に40,229,800円を交付している。
 右は、県及び市町村において震災による罹災者に対する応急救助費、給与品及び応急収容施設に要した経費の全額を補助するものであるが、その補助の対象となつた経費支出の内容を見ると、左記のとおり補助の目的にそわないものがある。
 本件は、公共団体たる県及び市町村における救助事業の実情を勘案することなく、補助金を交付したことに因るものであつて、補助の目的にそわない支出及び未使用分に対する補助相当額はこれを返納させるべきであるのに、23年11月になるもまだ返納になつていない。

(301)  和歌山県の支出額26,603,496円のうちには、22年3月及び5月警察電話復旧に使用した経費109,381円、震災後6箇月を経過して同年5月購入し、現在県において使用している乗用自動車の代価420,000円、4月及び5月元知事以下県職員に支給した手当541,490円、新宮市で震災により被害を受けた市営住宅復旧のため使用した経費700,000円計1,770,871円があるが、これらは一般罹災者救助のための応急の経費ではないから、補助の対象とすべきではない。又和歌山市、田辺市及び新宮市に応急収容施設費として980,000円を交付したが、これらの市においては補助の対象となるべき何らの施設をしていない。

(302)  徳島県の支出額10,084,054円のうちには、22年3月及び4月、元知事以下県職員等に支給した手当181,058円、鴨島町で22年3月の火災による罹災者救助のため使用した経費152,540円計333,598円があるが、これらは本件補助とは関係のないものである。

(303)  香川県の支出額2,595,811円のうちには、高松市の家屋291坪買収移築費800,000円、坂出市の収容施設費600,000円、丸亀市の市営住宅新設費222,000円計1,622,000円があるが、高松、坂出両市の分は応急施設としては程度を超えたものであるばかりでなく、その後いずれも市庁舎等として使用しているものであり、丸亀市の分は当初から罹災者の応急救助とは関係のない市営住宅を建設したもので、いずれも補助の目的にそつていない。