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  • 昭和22年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第9 商工省|
  • 同 歳出

印刷代金が高価に失したもの


(335) 印刷代金が高価に失したもの

(第13部物資及物價調整事務取扱費 第1款物資及物價調整事務取扱費 第1項物資及物価調整事務取扱費)

 商工省で、昭和23年3月用紙3,123連を支給して大日本印刷株式会社及び共同印刷株式会社に特殊衣料切符2億1千万枚の印刷を請け負わせ、その代金として1枚当り3銭4厘、総額7,140,000円を支払つたものがある。
 右契約に基く見積内訳書は別表のとおりであつて、見積内訳書のとおりの価格を支払つたものであるが、

(1) 材料費中にインキ5,120瓩その価格1,592,320円を計上しているが、この計算によると、支給用紙3,123連の両面を全部印刷するとしても、インキ1瓩でわずかに0・6連を印刷することとなり、一般にインキ1瓩で両面刷のもの2連余を印刷できると認められるのに比べ、本件価格はインキの所要量を過大に計上したものである。
 なお、本件契約のうち大日本印刷株式会社の分は活版インキ墨1号の単価を1瓩348円50銭と計上しているが、当時本品の統制額は248円50銭である。

(2) 労務費中に印刷工及び印刷雑工計13,353人その賃金1,675,085円を計上しているが、一般に輪転機1台に人員約12人を配し、1日(8時間労働)60連程度を印刷できるものと認められるから、支給用紙3,123連の両面を印刷するには印刷工及び印刷雑工は千人以内でたり、本件価格は印刷工及び印刷雑工の所要員数を過大に計上したものである。

(3) 労務費中に断截工及び断截雑工計8,412人その賃金1,095,040円を計上しているが、特殊衣料切符に断截するには断截機1台に人員3人又は4人を配し、1日20連程度を処理できるものと認められるから、支給用紙3,123連を断截するには断截工及び断截雑工は600人程度でたり、本件価格は断截工及び断截雑工の所要員数を過大に計上したものである。

 前記各項に対し、当局者は印刷物が紙幣に類する特殊なもので請負人に重大な責任を負わせ、且つ、印刷が短期間であつたばかりでなく、印刷工等の実際の賃金は標準賃金をはるかに上まわつているため、これらを加味して7,614,629円の予定価格を作成し、見積価格がその範囲内であつたので、内訳書記載人員に多少の不合理はあつたが、価格としては適当と認めたというが、本件印刷に関し、本院において印刷局につき調査したところによれば、市中一般の賃金により計算しても1枚当り2銭4厘程度で、総額500万円を超えないものであるのに、本件は予定価格の範囲内であることを理由として過大な見積内訳書の内容を詳細に検討することなくそのままの金額を支払つたものである。
 なお、本件の外に22年8月から23年9月までの間に前記2会社に特殊衣料切符1億5千6百12万枚その価格6,244,800円、卸売業者購入割当証明書24,500冊その価格366,000円、小売業者購入割当証明書203,500冊その価格3,321,000円及び普通衣料切符1億500万枚その価格11,130,000円の印刷をさせているが、いずれも本件同様インキ所要量並びに印刷工及び断截工等の所要員数を過大に計算した価格によつている。

区分 大日本印刷株式会社の分 共同印刷株式会社の分
員数 金額 員数 金額 員数 金額

材料費


1,333,474


665,052


1,998,526

 インキ

3,200

1,115,200

1,920

477,120

5,120

1,592,320
 その他
218,274
187,932
406,206
労務費
2,393,780
1,633,035
4,026,815

 印刷

7,550

945,250

5,803

729,835

13,353

1,675,085
 断截 5,262 688,190 3,150 406,850 8,412 1,095,040
 その他 5,818 760,340 3,750 496,350 9,568 1,256,690
その他
692,745
421,912
1,114,657

4,420,000
2,720,000
7,140,000