運輸省で、省外売却差損として処理した1,552,927円(うち昭和23年度1,270,042円)は、さきに大阪鉄道局が大阪府繊維製品株式会社から受け取り、各鉄道局に保管転換し、戦災職員救済用として配給した防塞襦袢及び袴下等に対し、その単価を11円から12円までとして代金を徴したところ、その後受取単価が126円30銭と決定したのに、配給単価を改訂しなかつたために生じた売却差損である。
右に対し当局者は、本件現品は大体21年9月中に単価未決定のまま職員に先渡し、別途名古屋鉄道局が三重県から引渡を受けた防寒襦袢の単価が16円70銭と内定したので、その3分の1引きの単価で代金を徴したところ、22年4月に至り受取単価が126円30銭と決定されたものであつて、もともと旧軍からの放出物資である関係上当然同値であるべきであるのに、各府県の財政状態や価格決定の時期により著しい差異を生じたが、事情やむを得ないものと認め、この差額は省外売却差損として処理し、追徴しないことにしたというが、現品を職員に先渡し、内定単価に基き代金を徴し、結局不当に多額の省外売却差損を計上するに至つたものである。