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  • 昭和23年度|
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  • 一般会計 歳入

船舶の売渡価格が著しく低価に失したもの


(315) 船舶の売渡価格が著しく低価に失したもの

(第2部官業及官有財産収入 第3款官有財産収入 第2項官有財産売払代)

 東京外10財務局で、昭和23年度中に旧軍用財産である鋼船742隻、木船1,713隻計2,455隻112,276屯を283,153,700円で売り渡したものがある。

 本件船舶の売渡価格は、22年2月大蔵省国有財産局が各財務局に指示した特務艇、雑役船価格算定要領によつたもので、その算定要領は16年の基準価格に物価変動による倍率を乗じ新造価格を算出し、新造価格から経過年数に伴う償却額及び破損等特別減価額を減額して決定するものであつて、物価変動による倍率については日本銀行の調査による機械類一般の物価指数をとり、16年を基準とすれば21年は9.9、22年は23であるのを参しやくして、倍率を23年9月までの売渡分に対しては船舶の種類により5倍から9倍、10月以降の売渡分に対しては4倍から15倍として売渡価格を決定したものである。

 しかしながら、船価は16年から上昇し続け、終戦後は稼動船舶の激減、諸物価の上昇に伴い急に値上りしたものであつて、本院において運輸省海運総局の資料等に基き調査したところによれば、23年度における船価は16年を基礎とすれば、鋼船は約50倍から65倍であり、木船及び機帆船もこれに応じて上昇している状況であつて、23年度における本件船舶の売渡しに適用した4倍から15倍の倍率は船価変動の実情にそわない低率なものであり、当局者の計算によるも約1億4千万円低価となつたものである。

 このような結果を招来したのは、前記価格算定要領の算式が妥当でなかつたことによるものであるが、各財務局においてもその算式をそのまま適用しただけで、実際の船価の変動を考慮せず売渡価格を決定したのは処置当を得ない。
 なお、本院の注意によつて24年10月以降の売渡船舶に対しては倍率をようやく最高40倍最低10倍と改訂したが、旧軍用特務艇、雑役船のうち貨物船などに改装容易なものは、その大部分が23年度及び24年9月までに売渡処分済となり、売渡未済分は特殊構造のため転用困難な鉄舟、折疊舟等需要度の低いもの、破損程度はなはだしく修繕費を多額に要するものなどがその大部分を占めるものと思われる状況であり、前記倍率改訂は船価の値上りより約2箇年遅れたものであつて改訂の時期を誤つたものである。