(第20部賠償施設処理費 第1款賠償施設処理費 第3項賠償施設撤去費)
東京財務局で、昭和23年2月株式会社安藤組に請け負わせた賠償機械291梱の梱包手直作業の代金として、7月に2,069,557円を支出したものがある。
右は、22年11月から23年1月までの間に横須賀市田浦に集積させた元相模陸軍造兵廠及び元第一海軍航空技術廠釜利谷支廠の賠償機械3,244梱のうち、梱包が不完全であるとの理由により連合国軍から手直を命ぜられたことによるものである。
当局者は、本件機械は大部分5屯をこえる大型機械で、しかも集積場でも2段又は3段に積み重ねなければならなかつたこと及び官給木材には腐しよく材が多く、且つ含有水分の多かつたものもあつたが、水分除去について特別の処置はこれをとることができなかつたことなどにより支材が折れたり梱包に狂いが生じたことによるものであるというが、5屯をこえる大型機械は他の工廠の賠償機械のうちにも相当多量あつたが、本件のような手直の必要は生じなかつたし、又賠償機械の梱包は輸送船の船艙内に2段又は3段に積み重ねてもそれにたえる設計上の規格を備えているのであるから、結局本件のような手直を生じたのは当初の官給木材に腐しよく材が多く、且つ多量の水分を含んでいたことによるものと認められる。
しかるに、本件梱包に要した木材は、相模においては集積石数26,643石のうちから19,562石を、又釜利谷においては集積石数12,630石のうちから9,308石を使用したものであり、その残材は計10,401石あつた状況で、いずれも木材選択の余地があつたばかりでなく、前記両廠における同種賠償機械の第2次撤去の場合も、前記10,401石のうちから4,262石を梱包に使用して支障がなかつたものであり、又22年8月準備撤去指令があつてから本件作業開始の10月までには約2箇月の期間があつた事実等から見て、使用木材につき数量的にも時間的にも選択の余地が十分あつたものと認められるのに、このような結果をきたしたのは作業の監督及び木材の官給に当つて処置当を得ないものである。