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  • 昭和23年度|
  • 第5章 不当事項|
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  • 第5 大蔵省|
  • 国有物件

国有財産の管理を得ないもの


(349)−(351) 国有財産の管理当を得ないもの

(349)  東京財務局で、栃木県日光町所在の元皇室財産である田母沢御用邸及び附属邸(土地14,550坪、建物2,449坪)並びに日光御用邸(土地12,933坪、建物567坪)を、正規の手続もとらず栃木県に使用させているものがある。
 右は、昭和21年10月宮内省が栃木県に無償貸付したものを、大蔵省が22年7月国有財産として引継を受けたものであるから、すみやかに正規の手続をとらなければならないのに、その後2年余を経過しながらそのままにしているものである。
 しかして、県は、田母沢御用邸本邸については栃木県観光協会をして22年10月1日以降有料で一般の観覧に供させており、同附属邸については23年4月15日以降田母沢会館と称し、日光国立公園観光株式会社(23年5月までは栃木県観光協会)をして旅館兼貸席業を経営させて純益金の5割を徴収し、日光御用邸については22年10月15日以降日光パレスホテルと称し、前記会社をして外国人向ホテルを経営させ、いずれも相当の収益をあげている状況である。

(350)  関東信越財務局で、昭和21年6月から元霞ヶ浦海軍航空隊の土地45,151坪、建物10,000坪及び元土浦海軍航空隊の土地28,989坪、建物6,814坪を財団法人霞ヶ浦農科大学に、又元土浦海軍航空隊の土地69,730坪、建物7,540坪を財団法人日本体育会に使用させているものがある。
 24年8月本院会計実地検査の際現場の使用状況を見ると、土地については農場及び運動場、建物については事務室、教室、実験室及び教官の居住施設などとして使用されているものはいずれもその一部に過ぎず、大部分は遊休の施設として荒廃にまかせ、ことに日本体育会使用の元土浦海軍航空隊本部は失火のため一部焼損したものがあるなど、使用財産の管理良好とは認められない状況であつて、両法人とも資力がなく、学生は年々減少の傾向にあつて経営困難であるばかりでなく、未使用の広大な土地は地元民から農耕のため返還方要望もあるから、全体にわたり再調査の上別途効率的な運用を図るべきものと認められる。
 又、使用料については24年3月までの分4,157,819円を一括して24年2月から4月までの間に徴収決定をしたが、10月現在なお収納未済である。

(351)  名古屋財務局で、豊橋市所在元豊橋陸軍第一予備士官学校の施設のうち、土地40,299坪、建物6,359坪を昭和21年6月以降愛知大学に一時使用させているが、24年4月本院においてその実地を調査したところ、その一部の土地約600坪、建物315坪5を23年7月ごろから教育目的とは関係のない工場として利用している外、土地約450坪、建物約160坪を23年10月から同局に無断で2箇年間の契約をもつて財団法人日本聖書協会に転貸し、印刷製本工場として利用させている状況であるのにそのままにしていたものである。