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  • 昭和23年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第5 大蔵省|
  • (終戦処理費関係の分)|
  • 一般会計 歳入

過払金の回収に関し処置当を得ないもの


(353)−(357) 過払金の回収に関し処置当を得ないもの

(第3部雑収入 第1款雑収入 第14項雑入)

 終戦処理費関係の工事又は物件の調達等の契約は、昭和22年度末ごろまでは概算契約が主で、これに対して概算払を行うことが通例であつたが、これらの契約が解除されあるいは工事の設計変更があり契約額が減少したにかかわらず、その処理が遅れたり官給材料を業者持の計算で精算したり、又は主務官庁の変更があつてその契約の処理を誤つたことなどのため、過払の結果をきたしているものが多い。
 しかして、これら過払金については、すみやかにこれを回収すべきものであるのに、精算が遅れたなどのため回収が遅延し又は困難となつているものがある状況で、その著しい例は左のとおりである。

(353)  戦災復興院特別建設局で、22年3月中央産業株式会社から購入した鋼鈑製放熱器8,540個の代金として4月1,665,300円を概算払し、23年1月その後の処理を特別調達庁に引き継いだが、5月調達要求取消となつたので同庁では右契約を解除し、改めて家族住宅用材料として購入することとしたところ、事務連絡が不十分のため前記支払額を回収することなく、新契約価格の全額2,246,020円を支払つたもので、当初支払額は24年11月に至つても回収未済である。

(354)  埼玉県で、夫双興業株式会社外2名に家具修理及び洗濯作業を請け負わせ、23年11月及び12月に4,762,244円を支払つたが、同年10月代金支払等の事務はこれを特別調達庁において処理することとなつていたのに、誤つて支払をしたもので、その後県において返納手続をとつたが、24年10月末現在なお3,421,244円が回収未済となつている。

(355)  千葉県で、21年10月から22年12月までの間に株式会社清水組東京支店に請け負わせた白井飛行場兵舎改修工事外5件は、22年12月から23年12月までの間に総額93,975,179円で精算支払をしているが、いずれも木材その他の官給材を交付しているのに、誤つて業者持として精算額に含めて支払つたため、2,742,854円の過払をきたしている。
 右過払額は、本院の注意により24年7月までに全額回収済である。

(356)  東京都で、連合国軍関係の設営工事で主として22年度末までに施行したものに関し、設計変更により契約金額が減少したのに、当初の金額で過大の概算払をしたなどのため、過払となり回収の手続をとつたものが合計192,009,748円に上り、このうち24年9月に至つてもまだ収納されていないものが35,610,731円ある。
 なお、この外に過払となつているものが約1500万円(外に過払があると推定されるもの約30件)に上り、今後回収を要するものである。

(357)  神奈川県で、21年1月から22年12月までの間に施行した家族住宅新築その他の工事で、23年12月までに精算の結果過払と判明しているものが38件1千4百余万円に上り、24年11月までに1,808,608円の徴収決定をしているに過ぎない。
 特に鹿島建設株式会社外2名分は、合計7件8,650,953円となつているが、これは当初概算契約に当り官給予定の材料を一応業者持として工事費見積額を決定したが、その後これを官給し又は設計変更などに伴い工事費の減額を要することが明らかであつたのに、何らの処置を講じていなかつたことに因るものである。