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  • 昭和23年度|
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  • (終戦処理費関係の分)|
  • 一般会計 歳出

工事費の精算に当り処置当を得ないもの


(361)−(365) 工事費の精算に当り処置当を得ないもの

(第18部終戦処理費 第1款終戦処理費 第2項終戦処理事業費)

(361)  連合国軍兵舎及び家族住宅工事の会計実地検査に当り、その工事現場について実測をした結果、請負工事費の精算数量が過大であることの明らかになつたものが左のとおりある。

(1) 特別調達庁横浜支局で、昭和22年11月株式会社竹中工務店に請け負わせた横浜第2号地区第2期土木工事のうち、法切外2件工事の代金として8,262,482円(うち22年度分6,732,000円)を支出したものがある。
 右のうち、法切工事費7,741,198円は敷地拡張のため47,920立米余の軟岩を切り取つたこととして精算したものであるが、完成図に基き現場の検査をしたところ、切取土量に過大積算となつている部分があつたので、全部にわたり実測させた結果2,316立米余、302,189円が過大に積算されていた。

(2) 宮城県で、21年9月西松建設株式会社に請け負わせた川内地区A 道路暗渠開渠工事の代金として1,691,900円を支出したものがあるが、右は、23年4月請負代金の精算に当り、盛土量は6,060立来余であるのに、土積計算図の誤記により、これを9,964立米余と誤算し、3,903立米余、251,324円が過大に積算されていた。
 なお、本件過払額は24年11月その収納を了した。

(3) 神奈川県で、21年9月西松建設株式会社に請け負わせた長井地区土木工事に対する概算払として45,465,978円を支出したものがある。
 右工事のうち、送水管及び導水管敷設工事は鋳鉄管及びエタニツト管4,147米余を敷設したこととして、23年7月に2,256,165円で精算したものであるが、実際に敷設されたのは3,814米余であつて、332米余、247,932円が過大に積算されていた。

(362)  北海道庁特別建設事務所で、昭和21年6月から22年8月までの間に、株式会社伊藤組外7名に請け負わせた北海道真駒内地区兵舎145棟の建設工事の代金として75,067,158円(うち21年度分51,618,523円、22年度分13,297,180円)を支出したものがある。
 右のうち、3,616,895円は煉瓦積工事に対する労務費であつて、煉瓦積工事の人工歩掛を使用煉瓦400本に対し、煉瓦工1人及び手元人夫1人から3人の割合とし、請負人の煉瓦取扱総数4,878,030本を基礎として精算されたものであるが、これは運搬途中等の破損を差し引き、実際に兵舎施設に使用した数量約425万本に基いて積算すべきものであり、今これにより計算すれば、煉瓦積工事の労務費は約58万円減少することができたものである。

(363)  青森県で、昭和21年9月ごろから23年11月ごろまでの間に、西松建設株式会社に請負施行させた三沢地区連合国軍兵舎新築工事のうち、第2期工事外14件の代金として545,177,400円(うち21年度分24,913,000円、22年度分245,360,800円)を支出したものがある。
 右につき、24年7月本院会計実地検査の結果によれば左のとおり経理上の処置当を得ないものがある。

(1) 本件各工事は、前記会社に特に指名して概算契約によつて施行したものであつて、他の多数業者との間における競争は全然なく、しかも同一地域で同種又は類似の工事を順次に施行したのであるから、各業者がその都度競争の結果落札して施行する場合にくらべ、総合仮設費、機械器具損料及び諸経費等の諸雑費の計算は、実施に当つては相当軽減することができるものと認められるのに、これらの点を考慮することなくおのおの独立した工事として精算したため、例えば総合仮設費においては、実際に建設した仮設物は24,403坪に過ぎないのに、仮設物を各工事ごとに建設使用したものとして34,951坪分(青森県契約のもので未精算のまま特別調達庁仙台支局に引き継いだ分を含む。)を積算している状況である。
 又、諸経費においては、総工事費458,170,000円に対し18%余に相当する85,290,000円(軍給材料取扱費6,740,000円を含む。)に上り著しく高額と認められるものがあるが、仮りに本件工事を各別の工事として取り扱わず前記458,170,000円の一連の工事として取り扱い、これに当時戦災復興院が工事設計予算を積算する場合において2億円以上の工事に適用していた諸経費率約10%を適用するとすれば、諸経費は約4600万円でたり、約3900万円を節減することができたものと認められる。

(2) 本件各工事のうち、滑走路建設第1期工事の施行に当り立木166,598本を伐採し、既に伐採してあつたものも含め377,066本の抜根をしたこととして施行費5,877,399円を精算しているが、前記立木166,598本(目通り径5寸から1尺程度のもの)の伐採面積は416,497平米で、平均2平米5(0.76坪)につき1本を伐採したこととなり、附近の林相その他現地の状況及び関係資料等に徴し著しく過大と認めたので注意したところ、当局者も立木伐採41,650本及び抜根94,222本とすることが適当であると認め、過払額5,052,669円(諸経費643,707円を含む。)を返納させることにした。

(364)  山口県で、昭和22年10月明楽工業株式会社に請け負わせた岩国飛行場滑走路その他新設工事の代金として52,152,100円(うち22年度分37,212,000円)を支出したものがある。
 本件工事は、滑走路、誘導路、排水渠の各新設と附帯の雑工事を内容とするもので、10月指名競争入札の結果44,300,000円で前記会社が落札し、23年6月完成したものであるが、設計変更等により支払額は前記のとおり52,152,100円となつたものである。
 右設計変更等による増額7,852,100円のうち、労務費、仮設費等の増加については特に当を失するものとは認められないが、材料費の増額1,871,214円は業者持材料である割栗石、砂利等において左表のとおり

品名 原設計 最終変更設計
数量 単価 金額 数量 平均単価 金額
割栗石 立米
54,730

175

9,577,872
立米
936

175

163,800
砂利 40,348 155 6,253,940 68,268 273 18,669,820
洗砂利 34,090 165 5,624,998 18,956 293 5,551,360
洗砂 17,045 110 1,875,005 5,467 149 818,050
146,214   23,331,816 93,527   25,203,030

 原設計にくらべ総数量では減じながら単価を値増したものがあつたため、総額においてはかえつて増額したものである。
 当局者は、砂利、洗砂利及び洗砂の単価の値増しについて、採取量が軍給砂利を含めて急激に増加して積地の混雑を生じたこと、採取地の変更に伴い運搬距離が延長したこと、貨物自動車の交通制限等の事由で当初貨物自動車1日運転回数5回として計算していたものが1日2回7しか運転できなかつたため、自動車の賃借料が割高になつたことなどによるというが、本院の調査によれば、右のような事情はあつたとしても本件材料の大部分を運搬した広島鉄道局の提供による自動車の運転実績によると、1日平均4回6であるから、少くとも4回運搬できるものとして計算すべきであるのに、これを請負人の申出により2回7として計算し、前記25,203,030円で算定したのは過大に失する。

(昭和22年度)(第19部終戦処理費 第1款終戦処理費 第1項終戦処理費)

(365)  愛知県で、昭和21年9月名古屋市に請け負わせたアメリカ村連合国軍家族住宅新築工事のうち、衛生設備工事の代金として9,336,894円(うち21年度分6,095,000円)を支出したものがある。
 本件工事は、名古屋市がこれを松栄管工事株式会社に下請させたものであるが、工事費精算書の内容と、本院において実地につき検査の結果正確と認めた完成図面とを対照すると、主要資材である鉄管等及びその配管材料において非常に差があり、精算書には実際使用されなかつたものも計上されている。
 例をA 型住宅一戸にとると、精算書においては鉄管500瓩、亜鉛管及び鉛管575呎3、ストツプバルブ18個、陶管3寸もの6本を使用したことになつているが、完成図面により計算すれば、鉄管150キログラム亜鉛管及び鉛管207呎、ストツプバルブ7個を使用しているだけで、陶管は全く使用していない状況であつて、以上の材料費だけでも約7,900円の相違があり、これに応じて労力費及び運搬費並びに諸経費も過大に積算されていて、これらを通算するとA 型住宅1戸分の、精算金額54,567円は約36,000円でたりる計算となり、約50%高価に当つている。
 本件工事は、住宅129戸の衛生設備工事であつて、住宅の型のことなるに応じ使用材料が多少相違しているが、全般に前例同様過大な精算をしてあり、これについて査定を行つたとすれば工事費において約300万円を節減することができた計算となる。