(第18部終戦処理費 第1款終戦処理費 第2項終戦処理事業費)
終戦処理費については、国が債務を負担しながら支払の遅延するものが年年多額に上り、昭和24年度においては23年度以前に債務を負担し支払未済となつているものを整理するため、特に終戦処理既定調達費174億4300万円の予算を計上した状況である。
しかして、支払をなすべき年度において支払ができなくなるのは予算支払計画を考慮することなく多額の契約を締結したこと、支払手続及び事務連絡が緩漫に過ぎたこと、概算契約の精算が遅れたこと、債権者からの支払請求書の提出が遅れたことなどに因るものであるが、予算を超過して多額の債務を負担しているのは著しく失当の処置である。
予算超過契約の額は連年増加し、22年度末においては約150億円、23年度末においては約190億円となつたもので、当局者は前記既定調達費を支出してその整理に当つているが、24年7月末に至つてもようやくその33%63億円の支払を完了したに過ぎない。
今、23年度内に債務完済に至らず支払を遅延したものの事例をあげると左のとおりである。
(1) 土木建築工事、維持管理工事及び役務関係に対する23年度分までの支払未済額は13,704,339,000円に達し、24年7月末に至つてもようやくそのうち5,272,466,000円の支払が完了したに過ぎない。
右のうち、役務の契約で調達解除となつたものに対しては、その契約者に従業員退職諸手当相当額を支払うことになつているのに、23年度末までに解除されたものでこれを支払わないものが多額に上り、24年9月末現在なお248件114,512,000円の支払が行われていない。
(2) 接収住宅又は土地の借料で23年度までの分に属するものの支払未済額は483,087,000円に達し、24年9月末現在なお209,477,000円が未払となつているが、このように遅れているのは主として24年3月料金値上の契約をなすこととしたのにその事務処理が遅れているためである。
(3) 23年3月SCAPIN第1,872号により同年4月14日までに履行された契約で、正規の調達要求によらない給付に対しては9月30日までに支払を完了しなければならないのに、これを完了しなかつたため支払ができなくなつているものが、24年9月末現在1,550件405,064,000円に達しているが、その事例として左のようなものがある。
(イ) 東京都で、1件ごとに大蔵省の承認を得て予算配賦を受けたにかかわらず、書類の整備などに手間取り23年9月30日を経過したため、支払ができなくなつているものが225件17,074,713円ある。
(ロ) 鳥取県で、22年3月株式会社山陽商会に施行させ、10月中止を命ぜられた美保兵舎発電所復旧工事は出来高3,363,522円であるが、23年8月に至つてようやくその額が決定し、更にその後の処理も遅延したため、結局さきに概算払した2,067,000円を差し引いた1,296,522円は支払ができなくなつている。