札幌地方専売局で、昭和22年度中に農薬用ニコチン剤の原料として、バーレー種葉たばこ516町歩余の試作を許可し、558,597キログラム(賠償金21,181,899円)を収納したものがある。
右葉たばこのうち256,188キログラムは、これを喫煙原料に使用することとし、残りの302,408キログラムはこれを農薬用ニコチン剤の原料として売り渡す予定であつたが、23年7月及び8月に37,000キログラムを1,5138円で売り渡したに過ぎず、559キログラムは盗難により亡失し、21,777キログラムはニコチン剤製造業者に無償保管させている間に業者に無断で使用され、結局24年11月現在において243,072キログラムを保有している。
しかるに、右農薬用ニコチン剤の原料である葉たばこは収納即売渡を建前としたものであつて、乾燥不十分なまま収納したものであるのに、長期間何らの処分対策を講じないでそのまま放置し、24年7月に至つてようやくたばこ製造原料として転用することに決定するなど処置当を得なかつたため、32,866キログラムが変敗し価額1,033,332円に及ぶ多額の損失をきたしたものである。
なお、23年度においてニコチン原料用葉たばこ683町歩の試作を許可し、1,259,696キログラムを収納して、23年12月から24年3月までの間に83,353,172円の賠償金を支払つているが、ニコチン剤の原料としては使用の見込が立たない状況である。