(款)自作農創設特別措置収入 (項)農地等代金一時払収入 (項)農地等代金年賦償還収入
福井県で、農地等の売渡代金の徴収処置当を得ず、職員の犯罪に因り収納を遅延しているものがある。
自作農創設特別措置法による農地等の売渡代金は、知事が市町村に納額通知書を発し、これに基き市町村が支払義務者から徴収して日本銀行に納付することとなつていたのに、同県では昭和23年6月の震災以後は事務混乱のため納額通知書を発行することなく、市町村をして代金を徴収させ、その一部は市町村農地委員会専任書記会議の出席者に直接持参させるか又は県吏員を市町村に派遣して集金させることとしていたのである。
しかして、その集金統括の任にあつた同県農地課長津田某は、集金額19,686,173円を受領しながらこれを日本銀行に納付することなく同人名義で日本勧業銀行福井支店に預金し、23年12月から24年2月までの間にそのうち6,110,598円をほしいままに費消し、3月までに12,848,890円を日本銀行に納付し、残りの726,684円はそのまま預金していた。
又同県農地課勤務事務吏員深見某は、23年12月から24年4月までの間に集金した市町村の徴収金260,000円のうち90,000円をほしいままに費消した。
このように農地等の売渡代金の徴収に当り正規の手続によらなかつたため、その間職員の犯罪をひき起し、ひいて歳入金の収納を遅延したのは処置当を得ない。