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  • 昭和23年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第10 運輸省|
  • 国有鉄道事業特別会計 歳出

不経済な工事を施行したもの


(528) 不経済な工事を施行したもの

(款)業務費 (項)業務費

 盛岡地方施設部で、昭和23年10月鹿島建設株式会社及び鉄道建設興業株式会社に請け負わせた山田線茂市蟇目間災害応急復旧工事の代金として25,404,263円(外に官給材料2,352,493円)を支出したものがある。
 右工事は、山田線が22年9月のカザリン台風の被害に加え、23年9月のアイオン台風の被害により約40キロメートルにわたり不通となつたのに対し約4000万円をもつて23年11月末にはモーターカー線を開通し、当面の緊急の需要をみたし得ていたのに、特に茂市蟇目間4キロメートル4については、岩手窯業鉱山株式会社の産出に係る耐火粘土を輸送するため緊急に復旧の必要があるとして、23年10月着工し24年2月完成したものである。

 しかるに、これと前後し23年12月には水害対策のため前記4キロメートル4の同一区間の鉄道の本復旧工事として、施工基面のかさ上げ、路線の付け替え、橋梁位置の変更、橋脚の改造等を工事費83,075,333円、完成期限24年7月末の予定をもつて本件工事と同一請負人に請け負わせて着工し、24年9月末に完成している。

 粘土輸送の緊要性はあつたとしても、23年9月の台風被害の直後から応急復旧工事の完成期24年2月末までの間においても、輸送経路を変更して省営自動車、民営自動車等により長距離輸送とはなつたが、とにかく大体台風前の輸送量は確保していたのでもあり、かたがた鉄道会計の現況からかんがみ少くとも本復旧工事が23年12月着工されたからには、応急復旧工事はこれを中止し、その経費、労力、資材等を本復旧工事に集中して当該工事をすみやかに完成すべきものであつたと認められる。