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  • 昭和23年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第10 運輸省|
  • 国有鉄道事業特別会計 歳出

著しく多額の工事費を支払ったもの


(529) 著しく多額の工事費を支払つたもの

(款)業務費 (項)業務費

 名古屋鉄道局敦賀管理部で、昭和23年7月名鉄工業株式会社に請け負わせた福井駅構内貨物上家震害復旧工事の代金として4,361,593円を支出したものがある。
 本件は、請負人の提出した支払請求内訳書のとおりの金額を支払つているが、同内訳書における材料費、労務費等は左のとおり著しく過大に積算されている。

 すなわち

(1) 屋根ぶき材料費として波形スレート(2.2尺×6尺)4,000枚分1,180,000円を積算しているが、24年5月本院において実地を検査したところ、上家スレート総数3,576枚のうち、実際に補充ぶきしたのは1,993枚であるから、1割程度の破損数を見込むもスレート約1800枚分約53万円は過大の積算となつている。

(2) 屋根ぶき労務費として、瓦ぶき工1,156人分413,140円(手当を含む。)及びこれに相応する手伝人夫賃208,080円(瓦ぶき工1人に対し人夫1人の割合)計621,220円を積算しているが、この種のスレートをふくには補充ぶきについては、1人工で20枚程度、ふき替えについては1人工で13枚程度の仕事ができるから、瓦ぶき工は補充ぶき1,993枚については約100人工、残りの1,583枚を全部ふき替えたとしても、これについては約120人工計220人工で十分の計算であり、手伝人夫もほぼ同数でたりるから、瓦ぶき工及び手伝人夫各約930人分約50万円は過大の積算となつている。

(3) 経費として、材料費、労務費及び諸役務費の合計額の3割相当額を計上しているが、前記のように材料費及び労務費において約103万円が過大に積算されているから、経費においても約30万円は過大の積算となつている。
 なお、本件工事代金4,361,593円のうち屋根ぶき工事費として積算された金額は総額約250万円であつて、実際の補充ぶき面積は約2,000平米であるから、平米当り約1,250円となり、多少のふき替え工事費が含まれているとしても、これを24年2月岐阜地方施設部が株式会社熊谷組に請け負わせた隣接の福井駅貨物上家(波形スレートぶき)668平米新築工事のうち、屋根ぶき工事の平米当り工事費400円にくらべると、著しく高価である。