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  • 昭和23年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第14 出資団体及び補助団体

復興金融金屋の融資に当り処置当を得ないもの


(614)−(617) 復興金融金庫の融資に当り処置当を得ないもの

(614)  復興金融金庫で、昭和21年10月から22年12月までの間に、三建工業株式会社外8土建会社に対し融資した運転資金260,552,000円のうち、24年11月末現在において回収未済のものが左表のとおり181,140,600円ある。

 右は、官庁関係の土建工事の運転資金として融資したものであるが、金庫は融資を急いだためあらかじめ工事代金の受領委任の手続をとらなかつたもので、その後この手続をとろうとしても会社はこれに応ぜず、又支払庁の協力を得ることができなかつたこと、金庫職員の手不足のため十分な管理ができなかつたことなどにより回収に至つていないというが、こうした融資についてはあらかじめ工事代金の代理受領等の処置を講ずべきであり、又その処置ができなかつたときは融資先における工事代金の受領の時期を注意すべきであるのに、これらの処置をとらなかつたので結局融資額の大部分がなお未回収のままとなつている状況である。

融資先 融資年月 融資金額 回収未済高 回収未済額の融資額に対する比率


千円
三建工業務式会社 21
22
12
2
から
まで
45,000 45,000,000 100
三幸建設工業株式会社 21 12
3,000 2,985,000 99
大和建設産業株式会社 22 2
20,000 18,855,600 94
鉄道建設興業株式会社
3
4
から
まで
32,000 29,800,000 93
日本都市建設株式会社
1
12
から
まで
4,970 3,650,000 73
東京復興産業株式会社 2
20,000 14,200,000 71
義合祥建設工業株式会社 21
22
12
1
から
まで
14,000 9,450,000 67
大東興業株式会社 21
22
10
7
から
まで
11,582 7,200,000 62
株式会社間組 21
22
12
3
から
まで
110,000 50,000,000 45



260,552 181,140,600

(615)  復興金融金庫で、昭和22年4月から10月までの間に八洲林業株式会社に対し、住宅用資材購入及び搬入の運転資金として8,460,000円を融資したものがある。

 右は、22年1月の東京地方融資懇談会において戦災復興院の指定を予想して炭砿労務者住宅用木材6万石の購入及び搬入の所要資金として融資方承認があつたのに対し、4月3,000,000円、6月3,000,000円及び10月2,460,000円を融資したものであるが、第1次融資の際戦災復興院の輸送証明書の交付のあつたときは直ちにその内容を通知すること、毎月20日までに前月中の購入販売実績等を報告すること、融資金の使途及び毎月の資金収入状況について金庫の監査を受けること、すでに認可を得ている増資をすみやかに実行すること等を融資条件としながら、同会社がこれらの条件を履行しないにもかかわらず、同会社の社長を過信して事業の実地調査を行うことなく木材の使途が庶民住宅用に変更されていたのに、引き続き第2次第3次の融資を行つたもので、その後金庫において23年8月監査した結果によると、建築用材の購入に使用されたものは32万余円に過ぎない状況であつて、融資についての調査が十分でなかつたといわなければならない。
 なお、融資額のうち24年11月までに1,090,000円は回収されたが、残額は未回収のままとなつていて、利息も4月以降延滞している状況である。

(616)  復興金融金庫福岡支所で、昭和23年3月姫島製塩株式会社に対し、塩田新設及び真空式機械製塩の設備資金として30,000,000円を融資したものがある。
 右のうち、20,000,000円は本件製塩設備に対する国庫補助金を見合とした3箇月の短期貸付とし、10,000,000円は3年間に会社の事業収益から償還すべき長期貸付として融資したものである。

 しかして、同会社は前記短期貸付分につき、国庫補助金の代理受領を金庫に委任することを承諾していたにもかかわらず、金庫は融資前に国庫補助金の代理受領の手続をとらず、融資後もこれを怠つていたためその手続のすまないうちに、会社は国庫補助金14,564,000円を直接受領し工事代金の支拂にあて、結局前記20,000,000円については現在まで返済に至つていないものであるが、右は融資に当り処置当を得ず当初の条件とちがつた融資を継続する結果を招来したものである。
 なお、前記工事のうち塩田設備の一部は会社の資金難のため中止するに至つていて、会社の営業不振のためその事業収益による償還はほとんど見込がなく、利息も23年9月以降延滞している状況である。

(617)  復興金融金庫新潟支所富山出張所で、昭和23年4月及び7月に三善製紙株式会社に対し、設備資金として20,300,000円を融資したものがある。

 右は、同会社で予算額6,473,000円をもつて金沢市二宮工場に絶縁紙抄造機二基を主体とする製紙工場増設計画をたて金庫に融資を申請したのに対し、4月に5,000,000円を融資したが、6月になつて会社からその後の調査によつて当初の計画では所期の目的を達することができないし、又かねて予定していた第2次増設計画を含め計画を再検討した結果20,000,000円の追加資金が必要となつたから、自己資金により賄う3,000,000円を除いた17,000,000円について融資を受けたいとの申請があり、金庫において調査したところ、会社は既に建物及び機械の一部を入手して工事を進めており、本計画に対する資材の枠も取得していたので、輸出絶縁紙の不足していた事情等をも考慮し、設備計画の完成に必要な資金として7月更に15,300,000円の第2次融資を行つたものである。

 しかるに、会社は金庫の了解もなく任意に前記の二宮工場の工事を中止し、別に金沢市金石町にある元新日本産業株式会社の工場を買収し、これに主設備を据え付けることに計画を変更し、これに伴う設備資金の増加に対する調達の見とおしも付けず変更計画の実施に着手したため、物価の高騰と相まつて更に45,000,000円の資金が必要となり、現在その調達難に関連して工事を中絶するに至つている。

 本件は、金庫が第1次融資に当つて計画内容の検討が十分でなかつたため、第2次融資をするに至つたのもでしかも融資後の管理についても注意が行き届かなかつたため、融資の目的をみたさない結果を招来し、利息も23年11月以降延滞している状況である。