(部)租税及印紙収入(款)租税
租税の徴収過不足をきたしていたものに対し、本院会計検査の結果是正させたものは、過不足の税額1事項10万円以上のもので集計すると669件徴収不足364,819,401円、徴収過49,047,742円で、これを態様別にみると次のとおりである。
(1) | 個人の取引関係等の調査不十分なもの | 118件 | 徴収不足 徴収過 |
93,322,030円 294,910円 |
(130)−(247) 右は、京橋ほか96税務署(別表第1(1)参照) で、所得税、相続税等の個人課税において、
(ア) | 国、公共団体その他法人との取引関係または所有権移転登記等の調査不十分なため、不動産所得、事業所得、譲渡所得、受贈財産等に対する課税漏れをきたしたもの、 |
(イ) | 富裕税、物品税等の関連資料の調査不十分なため、配当所得、不動産所得、事業所得等の課税漏れをきたしたもの、 |
(ウ) | 会社の設立資金、増資資金、不動産買得資金または貸付資金の出所の調査不十分なため、事業所得、譲渡所得、受贈財産等の課税漏れをきたしたもの、 |
(エ) | 事業所得の収支計算において減価償却額、たな卸額等の計算を誤ったもの、 |
(オ) | 所得の課税年分を誤ったもの |
などであって、(ア)に属するものが最も多く、課税資料の収集について更に努力し、課税の公平を期する要があると認められる。 |
(2) | 法人の経理内容等の調査不十分なもの | 154件 | 徴収不足 徴収過 |
49,134,410円 21,918,850円 |
(248)−(401) 右は、麹町ほか112税務署(別表第1(2)参照) で、法人税の課税において、
(ア) | 国または法人との取引関係の調査不十分なため収入金の計上漏れをそのままにしていたもの、 |
(イ) | たな卸資産の評価増減についての処理を誤ったもの、 |
(ウ) | 未確定債務、繰越欠損金の損金償却等を否認せずまたは預り金、仮受金等を誤って否認したもの、 |
(エ) | 修繕費等のうち資本的支出を否認せずまたは資本的支出でないものを誤って否認したもの、 |
(オ) | 課税済の積立金を益金にれい入しまたは経費として払い出されたのに所得から除算しなかったもの、 |
(カ) | 確定した事業税または利子税について損益の処理を誤ったもの、 |
(キ) | 損金、益金の所属事業年度を誤ったもの、 |
(ク) | 会社計上の当期利益金をとり誤ったもの、 |
(ケ) | 前期以前の否認金に対する当期の処理を誤ったもの、 |
(コ) | 繰延資産に対する課税処理を誤ったもの |
などであって、(カ)および(ケ)に属するものが最も多く、これらは税務計算と会社計算との関係についての調査不十分なことによるものである。 |
(3) | 法令の適用を誤ったもの | 158件 | 徴収不足 徴収過 |
59,336,840円 19,952,850円 |
(402)−(559) 右は、東京税関、東京税関支署、麹町ほか107税務署(別表第1(3)参照) で、法人税等の課税において、
(ア) | 損金に計上された法人税、犯則者納金等を否認せずまたは源泉徴収所得税の追徴税等を誤って否認したもの、 |
(イ) | 貸倒準備金、価格変動準備金または退職給与引当金について非青色申告のものにこれを是認しまたは青色申告法人におけるこれらの繰入限度超過額等を誤ったもの、 |
(ウ) | 減価償却範囲額の計算において法定の期間計算等を誤ったもの、 |
(エ) | 繰越欠損金の控除において非青色申告事業年度と青色申告事業年度との区分または経過規定の適用を誤り、控除することができないものを控除しまたは控除すべきものを控除しなかったもの、 |
(オ) | 欠損繰もどし控除において繰りもどすことができる金額等を誤ったもの、 |
(カ) | 清算分配金に対し経過規定の適用を誤り、益金不算入としまたは利益配当金の益金不算入額の計算を誤ったもの、 |
(キ) | 補助金の益金不算入について法定の要件をみたしていないのにこれを認めたもの、 |
(ク) | 積立金の課税において経過規定の適用を誤り課税をしなかったものまたは非同族会社と同族会社との判定を誤り税率の適用を異にしたもの |
(ケ) | 確定事業年度の税額算出において経過規定の適用を誤り、納付の確定した本税として中間事業年度の超過所得に対する税額を控除したもの |
などであって法人税において青色申告法人の課税上の特典に関する諸規定および経過規定の適用については特に誤びゅうが多く見受けられ、法令に対する一層の理解と正確な適用が望ましい。 |
(4) | 課税資料についての通報連絡または活用の不十分なもの | 145件 | 徴収不足 徴収過 |
100,122,118円 2,624,690円 |
(560)−(704) 右は、麹町ほか127税務署(別表第1(4)参照) で、所得税等の課税において、
(ア) | 法人税の課税上生ずる認定賞与、認定配当または資産の譲渡による法定再評価の結果生じた譲渡所得、山林所得の資料について税務署間または署内各課係間の通報連絡をしなかったもの、 |
(イ) | 署内の調査資料または他署から送付された取引資料等を十分活用しなかったもの、 |
(ウ) | 国税局調査課所管個人または法人について局から実額調査書が送付されているのに決定または更正をしなかったもの |
であって、課税資料の通報連絡については最近改善の跡は認められるが、なお大都市の税務署においては依然として多く見受けられ、また、所得調査における取引資料等の間接資料の活用については不十分な点が多く、改善を図る要があると認められる。 |
(5) | 源泉徴収所得税に関する調査不十分なもの | 64件 | 徴収不足 | 51,496,470円 |
(705)−(768) 右は、神田ほか56税務署(別表第1(5)参照) で、
(ア) | 配当、給与、外交員報酬等に対する源泉徴収所得税について徴収義務者の納付未済のものに対し強制徴収をしていなかったもの、 |
(イ) | 納付額に対する監査不十分なため納付不足のあるもの、 |
(ウ) | 正当の事由がなく納付が遅延していたのに源泉徴収加算税を徴収していなかったもの |
である。 |
(6) | その他の過誤によるもの | 30件 | 徴収不足 徴収過 |
11,407,533円 4,256,442円 |
(769)−(798) 右は、麹町ほか26税務署(別表第1(6)参照) で、
(ア) | 所得税、法人税の課税標準額または税額の算出にあたり誤算したもの、 |
(イ) | 物品税の課税標準額の決定を誤ったもの、 |
(ウ) | 法人税の課税上社外流出の認定賞与または配当とすべきものを留保としたため、源泉徴収所得税の課税漏れとなったもの |
などである。 |