郵政事業特別会計は、昭和27年度決算においてはじめて8億9千3百余万円の利益を生じたが、本年度においても引続き14億3千8百余万円の利益を生じ、本年度末繰越欠損金は52億6千7百余万円に減少した。
(収入および支出の調定時期について)
この会計の計理は、郵政事業特別会計法(昭和24年法律第109号)によって発生主義を標ぼうしているが、一方、同法施行令(昭和24年政令第191号)には、財産の増減および異動の事実がいずれの会計年度に発生したものとして計理するかについてはその収入および支出について調査決定をした日の属する年度とする旨の規定があるので、財政上の都合により同種事項についての調査決定の時期を異にし、ほしいままに所属会計年度を決定しているため期間損益に一貫性と適確性を欠く傾向があり、28年度においては、
(1) 27年度まで当該年度の支出としていた1月1日から3月15日までの貯蓄奨励内務手当、特殊有技者手当等の特殊勤務手当の支払を翌年度に繰り延べて29年度の支出としているもの65,508,447円(1997参照) 、
(2) 月額制をもって契約している専用自動車による郵便物運送料の3月分の支出年度が郵政局により異なり、28年度の支出としているもの2,896,403円、29年度の支出としているもの119,946,157円、
(3) 郵政省共済組合から月額制で借り入れている土地および建物の3月分借料ならびにこれに加算して支払うことになっている公課金および火災保険料の実費額の支出年度が郵政省および郵政局により異なり、28年度の支出としているもの21,030,154円、29年度の支出としているもの5,777,366円などがあるが、同種事項に対する調定の取扱を一定にし、毎年度の期間損益を適確にすべきである。
物品購入等の契約方式についてみると、たとえば本省資材部の28年度中における物品の購入、加工、印刷等の契約総額は29億5百余万円であるが、その約95%に当る27億8千7百余万円は随意契約によっており、さらに、そのうち約63%に当る17億7千5百余万円は用紙、自転車、被服、皮ぐつ、洋がさ等の調達であって、これは予算決算及び会計令第96条第23号により事業上特に必要なものとして随意契約によったものであるが、このような物品は、特に随意契約によらなくても容易に調達することができるものであるから、購入等にあたってはすみやかに会計法の原則により競争入札に付すべきである。