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  • 昭和29年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
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昭和29年発生災害復旧事業の査定額を減額させたもの


(2024)−(2028) 昭和29年発生災害復旧事業の査定額を減額させたもの

 地方公共団体が施行した公共土木施設災害復旧等の工事の会計検査の結果指摘した不当事項のうち、災害復旧とは認められない改良工事を施行しているもの、設計が過大なものまたは同一の被害箇所を重複して査定し国庫負担金が二重交付となっているものなど査定上の欠陥に基因するものについては、工事完成後にこれを指摘してもその是正が困難な場合が多く、むしろ工事完成前に査定の内容を検査し、早期に注意して是正を促すことが効果的であると認め、昭和28年度決算検査報告(参照) に掲記したとおり、28年発生災害の査定に対する検査を早期に実施したが、本年においても29年発生災害について右の早期検査を実施した。
 右検査は、同年発生災害に対する復旧費査定額300万円以上に上る香川ほか13県を選び、30年2月から4月までの間に、総工事数1,184その査定額22億2千6百余万円のうち1,019工事20億2千6百余万円について実施した。その結果は、申請工事に対する当局の査定において、現地実査の比率が向上したことなどにより、28年発生災害の査定時に比べ改善の跡は見受けられたが、なお、採択された工事のうちには、前年と同様に防波堤、護岸等の復旧工事について同一箇所の工事を農林省または建設省と重複して査定しているもの、災害を受けていないのに改良工事を施行しようとしているもの、港内にたい積した土砂のしゅんせつ量、被災流失した防波堤の捨石量等を過大に積算しているものなどが多数あり、査定工事費を適正なものに修正する必要があると認められたので当局に注意したところ、次表のとおり112工事につき工事費において5千余万円(国庫負担金相当額3千7百余万円)を減額是正する旨の回答があった。

類別
県名
運輸省査定額 同上のうち本院において実地検査したもの 減額される工事費
二重査定 改良工事その他 設計過大
工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額

兵庫県

91
千円
136,498

76
千円
112,344
 
千円

2
千円
615

7
千円
1,403

9
千円
2,018
和歌山〃 38 156,833 38 156,833         4 4,942 4 4,942
岡山〃 120 212,355 111 203,696     5 1,174 3 706 8 1,880
広島〃 228 265,834 223 263,593 2 582 6 1,435 8 2,929 16 4,946
山口〃 66 204,598 40 182,899     1 347 4 728 5 1,075
香川〃 209 381,470 151 326,987 1 1,007 12 4,977 3 701 16 6,685
愛媛〃 83 200,828 77 194,366 1 144 4 9888 3 738 8 10,770
高知〃 40 154,558 15 97,024         1 257 1 257
佐賀〃 5 3,853 5 3,853         1 138 1 138
長崎〃 39 36,065 26 23,465         2 641 2 641
熊本〃 20 20,224 20 20,224     1 154     1 154
大分〃 116 148,137 115 147,702     10 2,662 7 2,432 17 5,094
宮崎〃 76 215,615 76 215,615 1 91 4 1,398 10 6,587 15 8,076
鹿児島〃 53 89,851 46 78,315     4 1,273 5 2,156 9 3,429

1,184 2,226,719 1,019 2,026,916 5 1,824 49 23,923 58 24,358 112 50,105

 しかして、前記の是正するもののうちおもなものをあげると次のとおりである。

 (1) 重複して査定されていたもの

(2024)  香川県小豆郡豊島村が施行する硯港災害復旧は、査定額2,882,000円(国庫負担金2,547,688円)で護岸延長190メートルを復旧することとしていたが、右のうち70メートル工事費1,007,000円(国庫負担金890,188円)は別途農林省が25年災害として316,000円(国庫補助金205,400円)と査定した家浦甲生地区堤塘災害復旧の一部と重複して査定されていた。

 (2) 改良工事その他国庫負担の対象としてはならないもの

(2025)  愛媛県が施行する東宇和郡玉津村玉津港災害復旧は、査定総額6,885,000円(国庫負担金4,977,855円)で防波堤2箇所延長70メートルを復旧することとしていたが、本件防波堤は在来37メートルにすぎなかったもので33メートル工事費3,851,000円(国庫負担金2,784,273円)は新たに増設しようとしたものである。 

(2026)  大分県津久見市が施行する高浜港災害復旧は、査定額1,496,000円(国庫負担金997,832円)で護岸延長70メートルを復旧することとしていたが、右のうち26メートル工事費522,000円(国庫負担金348,174円)は在来護岸がなかったものである。

 (3) 設計が過大と認められたもの

(2027)  岡山県児島郡東児町が施行する石島港災害復旧は、査定額1,251,000円(国庫負担金898,218円)で防波堤延長124メートルについて捨石1,027立米を施行することとしていたが、測量の誤りにより実際は捨石552立米を施行すれば足りるもので、工事費578,000円(国庫負担金415,004円)が過大となっていた。

(2028)  宮崎県日南市が施行する宮浦港災害復旧は、査定額2,670,000円(国庫負担金1,780,890円)で防波堤延長35メートルを復旧するにあたり、方塊109個、張石345平米の全量を新規購入して施行することとしていたが、従来の防波堤の張石のうち被災して海中にたい積している石を本件工事の材料として活用する方途を講ずれば、方塊45個、張石146平米を新規に購入すれば足り、方塊64個、張石199平米は減少することができるので、工事費1,098,000円(国庫負担金732,366円)が過大となっている。